Vampire.Sさんから聞いたRuneWars設計思想メモ

 昨晩の夜23時ごろから3時間ほど、RuneWars*1のメカニズムデザイナーであるVampire.Sさんと、Skypeボイスチャットでお話しました。

■RuneWarsWiki(同人RPG『RuneWars』の基本的なテキストがアーカイヴされている)
http://www.dunharrow.org/pukiwiki/runewars/

 先日久しぶりにまりおんさん(id:mallion)の卓でRuneWarsのセッションをしたので、その感想がてら、改めてRuneWarsのデザインコンセプトや、細かいルールの解釈について伺い、沢山メモを取らせていただきました。
 今回提示するのは、私が3時間くらい話を聞いた中での私なりの解釈ですので、Vampire.Sさん自身の考えを捉え損なっている部分もあると思われます(もし実際まずいところがあれば、コメント欄でご本人が指摘してくれるはずなのであまり心配はしていないのですが)。
 それを踏まえた上で、RuneWarsというゲームメカニズムの志向性を、より楽しむにあたっての参考資料になればと思い、UPすることにしました。

 なお、Vampire.Sさんは、基本的に自分の作ったメカニズムやそれにまつわる発言・書き込みについて、「コピーレフト」的な著作権感覚を持っていらっしゃる方のようです。RuneWars関連のテキストも、私が想像していたよりもかなり著作権的に開かれたテキストであると本人は考えているもよう。
 今回はその辺の塩梅も冒頭に書き留めましたので、「RuneWarsを色々解析してみたい」「RuneWarsに手を入れて別の方向性のゲームを作ってみたい」という方は、「そっから面白いモンが出ればどう使ってもどう改造してもオッケー(でも数学的にまずいところは個人的に指摘しに来るかもね!)」という原著者の立場を踏まえて、二次利用されるのがよいのではないかと思います。

自分の記述に誤解があり、変更しました。きっかけとなったやりとりは以下です:
Vampire.S: ところで。ハッカーカルチャーの話で思い出したのですが、よろしければ、ご自分のBlogでR=Wを紹介する際、CreativiComonsに関する議論とR=Wに関する議論について、少し整理しておいていただけるでしょうか。というのも、私自身はR=Wに関してCC的議論は全く無関係だと思っているのです。
私が主張したのは「R=Wなんて同人なんだから、みんなで適当にやればイイでしょ」というだけで、著作関連権利やそれに対する社会的スタンス等の議論は一切関与させていません。“主観的な責任さえ取ってれば、文句言われる筋合いは無い”=同人活動における責任意識 ってなところですかね。

志臣: 了解です。それは私の誤解でした。補足記事と元記事の訂正をします。
Vampire.S: よろしくお願いいたします。現状のBlog記事だと、なんだかRuneWarsのアジェンダの中に“CCライセンスにより同人RPGを開発することの有効性を実証するための試み”ってのが入っているように読める気がします。無論、"R=Wの編集作業において、CCライセンスの方がGPLよりも有効である"といった議論はあってしかるべきとは思いますが。
志臣: はい、了解です。その相談コストを下げる上でCCは有効かも、ということと、R=Wが同人活動としてどういうスタンスを持っているかということは無関係ですね。
Vampire.S :ええ。

(090912_Sat_0400 転載)

 私自身がもしVampire.Sさんのテキストを、「ゲーム批評」ではなく「メカニズムデザイン」のために利用する場合は、私が最近関心をもっているCreative CommonsのCC[BY]と同じような感覚で行こうかと思ってます。原著者には敬意を示しつつ、あくまで自分の解釈には全責任を持つことを強調する方向で。といっても、今作っている『MOD』は、メタルールの一部以外はだいぶ異なる設計になりそうですけれども。
 最近では、RQコミュニティのなゆたさんも『呪に交われば――The Powers of Words』というシステムをデザインされており、これはオンラインに適合するよう再設計したRuneWarsヴァリエーションと言えるかもしれません。

 あと、Vampire.Sさんは、硬質で論理的な文体に似合わず、発話の雰囲気それ自体はとても穏やかな方です。声を聞いたことがない人は、適宜脳内変換してお読みください。私は「だ・である」調にまとめたので、全体的に重めになってますが、実際はそういうわけではないこと、あらかじめ付けくわえておきます。

 それでは以下、お読みください。

  • RuneWarsの著作権について(著作者本人の志向)
  • RuneWarsの設計にまつわる背景
  • アトリビュート]についての補足
  • RuneWarsにおける[判定]についての基本的なおさらい
  • [ルーン強度]を解釈するにあたっての重要な論点
  • メタルールの一つ、[クーポン]についての重要な補足
  • 以上をまとめた高橋の感想

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RPTools翻訳作業について

 以前から紹介している、総合オンラインTRPG環境ソフト『RPTools』について。
 私が忙しかったもので最近何も目立ったことを言っていませんでしたが、ここ数日で動きがありました。幸いにも開発者の人と直接英語で連絡を取り合うチャンスを見つけることができまして、今フォーラムで色々お話を伺っています(私も拙い英語でなんとか聞いているところです)。
 結論から言うと、「hard-coded(プログラムに直接埋め込んでおり、かんたんに英語以外の他言語には対応出来ないところ)な部分がまだまだ多く、一気に日本語にするようなことはできない。だが、もし君たちの持っている日本語化パッチを送ってくれさえすれば、次のバージョンから部分的な日本語化も実装できるかもしれない。ぜひ送ってほしい」ということだそうです。
 あとは、翻訳の際の解析を手伝ってくれた人によれば、日本語のロケールの問題もあるそうです。実際には「全て日本語化された環境でRPToolsを遊ぶ」という目標にはまだまだ遠そうなのですが、ようやくRPToolsの開発者と日本語ユーザーとが少しずつ議論できそうなきっかけが出来つつあるということで、お伝えしておきます。
 数年以内に実装されれば、たとえば『D&D Insider』ほどの手厚さ、ゴージャスさには届かないまでも、オープンソースな総合オンラインTRPG環境ソフトを使った、GMレベルでのサポートが沢山できるようになるのではないか、と思います。 
 今後は、RPToolsのマニュアル化の情報も含めて、こちらで提供していくつもりでいます。

RPTools日本語環境下運用サポートページ
http://kagirohi.net/trpg/index.php/RPTools

 さて、再度RPToolsのライセンスについて簡単にメモ。
 RPToolsは、「MITライセンス」のもとで提供されているオープンソースのソフトウェアです。
 データや更新情報はSourceforge.netで取得できます。

RPToolssourceforge.net)
http://sourceforge.net/projects/rptools/
■MITライセンスの説明
http://sourceforge.jp/projects/opensource/wiki/licenses%2FMIT_license(日本語訳)
http://opensource.org/licenses/mit-license.php(原文)

 MITライセンスとは、オープンソースソフトウェアが取得しうるライセンスの一形態で、「一切の無保証であることを前提に、そのままの形で提供される」ということのようです。動作に関しては一切の責任を負わないけど、まあ自由にやっちゃってー、みたいな感じかしら。

 Wikipediaにはこんな説明も。(おお、CC[BY-SA]を先日取得したお陰で、著作者さえきちんと書いておけば大手を振ってWikipediaから引用できる。Creative Commons万歳!)

■MITライセンス(by Gardiac, Nog, ほか)
http://ja.wikipedia.org/wiki/MIT_License

MIT LicenseはGPLなどと違いコピーレフトでは無く、オープンソースであるか無いかに関わらず再利用を認めている。BSDライセンスをベースに作成されたBSDスタイルのライセンスの一つである。MIT Licenseは、数あるライセンスの中で非常に制限の緩いライセンスと言える。

 それでも、今一番これを精力的に開発しているのはRPToolsの公式なので、自分たちで勝手にやるよりは色々お話を聞いて、協力して進めていった方が、日本語環境への導入には貢献できそうです。

 ところでオープンソースの定義についても、OSGに書かれているので再度確認(これはCC[BY]で提供されているので、著者名とURIを書くだけで、実質どこでも引用可能ですね。)

オープンソースの定義・日本語訳(八田真行訳、2004年2月21日)
http://sourceforge.jp/projects/opensource/wiki/Open_Source_Definition

  1. 再頒布の自由
  2. ソースコード
  3. 派生ソフトウェア
  4. 作者のソースコードの完全性(integrity)
  5. 個人やグループに対する差別の禁止
  6. 利用する分野(fields of endeavor)に対する差別の禁止
  7. ライセンスの分配(distribution)
  8. 特定製品でのみ有効なライセンスの禁止
  9. 他のソフトウェアを制限するライセンスの禁止
  10. ライセンスは技術中立的でなければならない

 で、これを満たすオープンソースのライセンスは本当に沢山あるようです。その中で、MITライセンスはそれでもわかりやすい方みたいです。もちろん上の10個の定義の心持ちは分かっておくに越したことはないと思いますけれど。

 ここ数ヶ月で触れた本の中で面白かったのは、この本ですかね。

オープンソースの成功―政治学者が分析するコミュニティの可能性

オープンソースの成功―政治学者が分析するコミュニティの可能性

今後のロードマップ

  1. オープンソースでさまざまなニーズに合わせて提供される、総合的なオンラインTRPG環境の普及。
  2. TRPGシステムを頒布する際の著作権問題の整理、および、政治的にTRPGコミュニティ全体の効用を高めるような著作権限の運用(現状、Creative Commonsの適用方法の考察とその運用マニュアルの作成)。
  3. 上記二点の実践例としてのオープンソースTRPGシステムの開発。特に、パブリックドメイン(CC[0])で提供される、TRPGの基礎概念についての整理されたマニュアルの提供。
  4. それらを利用して、「それぞれ異なるシステムと背景世界を携え、個々にナラティヴ・ゲーム*1の面白さを伝えるパフォーマーとしての〈ゲームマスター〉たあち」に協力を仰ぐ。(以前から言っている「ゲームマスター副業化計画」)
  5. これらすべてを満たした上で、個々のゲームマスターがナラティヴ・ゲームのプレイ&デザインの魅力を、(時には無料の教材を使えるような状況で)個々に伝達すること。
  6. そのような裾野を提供することによって、TRPGデザインのプロフェッショナルたちがこれまで設計・販売してきた商品の価値を再検討してもらい、市場の健全化に資すること(もちろん、プロにとって有利に働くことを推測している)。

 というようなことを考えております。
 もちろん、数年でやろうとは思っていませんが。

*1:以前のようにImaginary Board Game と呼んでも良いが、最近はこちらの方が通りがよいかなと思っている。