TRPGシステムデザインにおける「ゲームスケール」の考察――『Aの魔法陣』の場合

 以下の文書は、TRPGシステム『Aの魔法陣』における「抽象度」(あるいは「ゲームスケール」と呼んでもよい)の取り扱いについて、筆者(高橋志臣)が自習用にまとめたものです。*1
 Aの魔法陣の抽象度概念について適切な説明となっているかはわかりませんが、現時点での私のシステム解釈として読む限りにおいては、『Aの魔法陣』のセッションデザイナー(=一般的に言うところの〈ゲームマスター〉)の役に立つかもしれません。そういうわけで、せっかくなのでここに公開することにします。
 なお、この記事はおそらく、最近出た『Aの魔法陣 ガンパレード篇』の設計思想とは多少異なる解釈をしています。Aの魔法陣』三版本体と『Aの魔法陣 ガンパレード篇』は、いわばBasic Role-Playing(BRP)『クトゥルフ神話RPG』との関係に近い(と筆者は考えている)ことを念頭に置いて読んでください。
 つまり、今回私が書いた記事は、たとえるならば「BRPを使ったマスタリングの傾向」という、かなり抽象的かつ基礎設計論的な話に近く、決して「CoCにおけるマスタリングのハウツー」というような、即座に実践に使えるような類の記事ではない、ということです。この点、あらかじめご了承いただければ幸いです。

要約

Aマホは、抽象化の程度を、以下の3つの概念を定義・定量化することによって実装しています。

  • 〈判定単位〉
  • 〈根源力〉
  • 〈成功要素〉

 これらの概念をゲーム的に整理することによって、『Aの魔法陣』は、セッションで扱う状況の抽象度を上げ下げすることが可能になっています。
 これを応用して、1つのシステムで様々な状況を記述することを、『Aの魔法陣』では「ズーム&ダイブ」と呼びます(芝村2006: 334-5)。
 ただし、単に「ズーム&ダイブ」するだけで面白いものができるわけではありません。それぞれのスケール・それぞれの状況に合わせた適切なセッションデータを作成することが、「セッションデザイナーが面白いゲームを提供する」際に重要となります。Aの魔法陣』において「ゲームの面白さ」を設計する能力と責任は、システムデザイナー(=ルールブックそれ自体の出来)だけではなく、セッションデザイナー(=現場でゲームを運用する人)にも問われています。『Aの魔法陣』は、そのことを前提にして、システムが設計されています。

(重要な補足:ただし、ガンパレード篇』については、この限りではありません。SDの負担が軽くなるような工夫が、随所になされています。あくまでこれは、三版基本ルールブックの設計思想について言及するものです。)

 今回説明するのは、『Aの魔法陣』において可能な「ズーム&ダイブ」の仕組みそれ自体についてです。これだけを学んでも、『Aの魔法陣』で面白いセッションをデザインできるとは限りませんが、その一つのヒントにはなるかもしれません。

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