渡辺照宏・宮坂宥勝『沙門空海』([1967]1993)

という経緯で出版されている本、『沙門空海』を読んだ。

渡辺照宏宮坂宥勝,[1967]1993,『沙門空海筑摩書房

 渡辺照宏(わたなべ しょうこう,1907-1977)と宮坂宥勝(みやさか ゆうしょう,1921-2011)による共著である。元の筑摩叢書は、戦後に進んだ空海・平安仏教関係の概説書の中でもとりわけロングセラーとして親しまれた本であるらしい。*1 また、上山春平らが1968-1970年にかけて角川書店で全12巻の『仏教の思想』シリーズを刊行した仏教思想再考の潮流を先取りした良質な解説書でもあった*2。戦前に「弘法大師」として、つまり神格化した存在として取り上げられていた空海は、戦後に「人間・空海」として、また平安期を生きた思想家として、捉え直される動きが徐々に生じてきた。『沙門空海』はその過渡期にあたる、総合的な空海論となっている。
 この“総合的”であるということには、良い面と悪い面の両面が含まれている。

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服部 正也著・黒河内 康ほか編『援助する国、される国』(2001)

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服部正也(1918-1999)は、いわゆる開発経済、特技アフリカ経済開発の領域における実務家として著名であり、国内外に大きな貢献を残した人物である。特に1972年にかれ自身の(1965-1971の約6年間にわたる)ルワンダ中央銀行の総裁として勤務した経験を綴った『ルワンダ中央銀行総裁日記』(1972年・中公新書)は中公新書のロングセラーとなり、また2009年に増補部が追加される形で復刊を果たしている。*1

▼遺稿集であるがゆえの、論理構造の(部分的)脱落について

しかしながら、今回紹介するこの本『援助する国、される国』は、『ルワンダ中央銀行総裁日記』と比べると、readability(可読性)の高い本ではない。なぜか。この本が“遺稿集”であるためだ。

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