#FalettinSouls s2e04

【2021-05-17 朝】

おはようございます。梅雨入りしてしまいましたね。纏う衣類がぐずぐずになっていくのにウンザリしてしまいますが、やってゆきましょう。月曜日のファンク&ソウルはいかがっすか。#FalettinSouls s2e04 配布日です。

1. Tom Waits. Clap Hands. 1985.
2. Nine Inch Nails. Satellite. 2013.
3. 碧海祐人. 夕凪、慕情. 2020.
4. TOKYO GROOVE JYOSHI. Funk No1. 2020.
5. F.B.I. Bad Deal. [1976] 2011.
6. かまやつひろし. ゴロワーズを吸ったことがあるかい. [1975] 2003.

以上6曲でお送りします。今日はまたクセの強い並びかもしれない。

ちなみに今週金曜日も #FalettinSouls 単一ユニット特集は確定してます。"Night Tempo と昭和グルーヴ"というお題で1+6曲お届けします。トラックリストはもうできてます。

【同日 夕】

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こんばんは。梅雨のじめっとした空気の中、いかがお過ごしでしょうか。御勝手エクリチュール音楽ラジオ番組 #FalettinSouls Season2 Episode4の時間となりました。今週も「これがファンク&ソウル文脈じゃい」という、反証可能でありつつそこそこ請け負って出してみせることができる6曲をお送りします。

ではやってゆきましょう。

1. Tom Waits. Clap Hands. 1985.

35年前の曲です。トム・ウェイツは1970年代前半から歌手として活躍し、のちに俳優としても業績を残しているカリフォルニア州出身のシンガーソングライターです。一度聴いたら忘れられない、むせ返るほど男くさい嗄れた声が特徴ですね。

トム・ウェイツのジャンルは何だろう? と、いつもその魅力にヤラれながら考えてしまうんですが、なんというか、悪魔に魂を売ったタイプのブルースロックには隣接してるような気がするんですよね。この曲のチャカポコ感も何か、嗤う髑髏たちが叢でぶつかり合ってるような不穏さがある。

2. Nine Inch Nails. Satellite. 2013.

2曲目は、ちょっと意外ですか? ジャンルとしては90年代インダストリアル・ロックで覇権を取ったバンド、NIN (Nine Inch Nails) からです。曲自体はバンドのリーダー、トレント・レズナーのイニシアチブがより強い2013年から持ってきてますが。ちなみにNINは2009年に活動を休止してました。2013年は活動を再開した年でもあります。

勝手にインダストリアルロックをファンク文脈で聴くんじゃないよ、と突っ込まれそうですが、実は古典ファンクがクラブ文化と混ざり合ってEDM化してゆく中で、「エレクトロファンク」という複合ジャンルが一部インダストリアルな音をフィーチャーしてきた(と自分は観察してるつもりな)んですよね。

そういうエレクトロファンク後の音楽環境の地図の中でNINを聴き直すと、「インダストリアル・ファンク(?)」としても聴ける、ノレるミドルテンポの楽曲が幾つか見出せるな、と最近聴いてるうちに思ったんですよね。普段からNIN聴いてる方も、NIN聴くのは初めてだという方も、どないなもんでしょ。

3. 碧海祐人. 夕凪、慕情. 2020.

3曲目は愛知県出身、昨年(2020年)にインディーズLPを出したばかりのSSW 碧海祐人(おおみ まさと)さんの曲から。これ、一聴して「なんだ落ち着いたバラードか」と思いかけるんですが、実はいろんなところにファンクネスが隠れていて、技ありな一曲になっていました。

まず、ビートの刻みが凡庸とは程遠いですよね。これ叩いてる人誰? と思って調べたら、Season1で紹介したドラムス奏者の石若駿(Answer to Remember)でした。*1そりゃ巧いはずだよ……。さらにサウンドエンジニアリングはbig turtle STUDIOSの藤城真人とのこと。*2

その上で、そういうリッチな座組が実際に実施されてしまうことに納得がいくほど、本人のトラックメイクの力は高いのではないかと思います。王道ど真ん中ではないんですが、J-POPにおけるR&B文脈の活かし方としてはかなり研ぎ澄まされたもの。今後の音源も楽しみになりました。

【補足】『逃避行の窓』については、ウルトラ・ヴァイヴ社のインディーズCD\専用頁にミュージシャン紹介がありました。*3

4. TOKYO GROOVE JYOSHI. Funk No1. 2020.

4曲目はトーキョー・グルーヴ・ジョシ。3人組のファンクユニットです。

金指恵美(Emi Kanazashi, キーボード/ヴォーカル)
芹田珠奈(Juna Serita, ベース/ヴォーカル)
関優梨子(Yuriko Seki, ドラムス/コーラス)

この3名でサウンドを作っています。*4

候補にはヴォーカル付きの曲もあったのですが、インストゥルメンタルのこの曲が、(管楽器やギターで参加してるサポートも巧いですけど)3人の演奏力の高さが味わえるなと思い、この選曲となりました。

以前、女性オンリーファンクバンドBimBamBoomも紹介しました。海外だけでなく、日本のファンクミュージックを担うユニットも徐々にジェンダーレスに向かっていて、素晴らしいです。この流れは今後も加速して、当たり前度も増してゆくことでしょう。まだ過渡期とも思いますが。

5. F.B.I. Bad Deal. [1976] 2011.

5曲目は、ジャズ評論家の柳樂光隆さんの「ブリットファンク」特集リスト*5を聴いていたときに一際耳を引っ張られた一曲から。FBIって何の略? 連邦警察? と思ったら、Funky Band Incorporated だそうな。*6*7ファンキーバンド社。まんまやん。なんか愛嬌があるネーミングですね。

このUKファンクバンドは、1976年に1枚アルバム出してそれっきりだったみたいですが、1枚にせよこんな輪郭のハッキリしたキラーチューンを出せたバンドが居たというのは、当時のUKの層の厚みを感じさせますね。ここから十数年かけてアシッドジャズに至る下地は既にこの頃からあったんだと。

6. かまやつひろし. ゴロワーズを吸ったことがあるかい. [1975] 2003.

最後はムッシュかまやつことかまやつひろしの曲。バンカラ風の旧交を懐かしむシングル「我が良き友よ」のカップリング曲として収録されたものです。

ところでこの曲、日本のファンク史において極めて重要な意義を持ちます。それはなぜか。このバックバンドの鍵盤の刻み、あの様式を思い出しませんか。1975年ごろにこの刻みをやってのけていたバンドといえば……。そう、実は来日公演中だったTower of Power *8が収録サポートに参加した曲なんですね。この「ゴロワーズ」は。

【高橋芳朗】かまやつさん、70年代にタワー・オブ・パワーという現在も活動しているアメリカのベテランファンクバンドとレコーディングしているんです。〔…〕『ゴロワーズを吸ったことがあるかい』、1975年の作品です。かまやつさんの代表的なヒット曲の『我が良き友よ』のB面、カップリングだった曲になります。おそらく40代以下、若い世代の方にとってのかまやつさんというと、『我が良き友よ』よりも『ゴロワーズを吸ったことがあるかい』のほうが馴染み深いんじゃないでしょうか。というのも、この曲は90年代にコーネリアスの小山田圭吾さんのバックアップでセルフカバーして再評価されているんですね。演奏はブラン・ニュー・ヘヴィーズのメンバーが務めていたりして。*9〔…〕そのあと、2002年にも小西康陽さんのプロデュースで再レコーディングしているんですよ。そういった意味では、『我が良き友よ』よりもタイムレスな名曲といえるんじゃないかと思います。で、かまやつさんとタワー・オブ・パワーが共演することに至った経緯について簡単に説明しますと、当時かまやつさんはロッド・スチュワートがボーカルを務めていたイギリスのフェイセズというバンドが好きだったみたいで。〔…〕かまやつさんのあのパイナップルヘアーはまさにロッド・スチュワートからきているんだろうね。で、そんなこともあって、やっぱりかまやつさん的には「下駄を鳴らして奴が来る~♪」みたいな歌をやることにはちょっと抵抗があったんですって。

【ジェーン・スー】あ、そうなんだ。

【高橋芳朗】ただ、その代わりにカップリング曲では自分の好きなようにやらせてもらいますってことになったみたいで。それでちょうど来日中だったタワー・オブ・パワーにダメモトで共演のオファーをしてみたら快諾してくれたんだって。〔…〕でも急な話で曲も歌詞もなにもできてなかったから、時間のないなかで適当にオケの雛形をつくってさらっと歌詞を書いて突貫工事でこしらえたのが、あの『ゴロワーズを吸ったことがあるかい』。

ジェーン・スー 生活は踊る. 2017-03-04. *10

日本ではもう一曲、RCサクセションにもTOPが参加している曲があるのですが、それはまたの機会に……。

ところでこのゴロワーズ、煙草からエッフェル塔に飛び、しかし3番になって、「狂ったように何かに凝れ、そうすれば幸せな道を歩いていることになる」と言った直後に、いつしか「赤ん坊が羨ましくなるほど老い、何にも感動できなくなるだろう」と予言する。スケールのでかい歌なんですよね。

君はたとえそれがすごく小さな事でも
何かにこったり狂ったりした事があるかい
たとえばそれがミック・ジャガーでも
アンティックの時計でも
どこかの安い バーボンのウィスキーでも
そうさなにかにこらなくてはダメだ
狂ったようにこればこるほど
君は一人の人間として
しあわせな道を歩いているだろう

君はある時何を見ても何をやっても
何事にもかんげきしなくなった自分に
気が付くだろう
そうさ君はムダに年をとりすぎたのさ
できる事なら一生
赤ん坊でいたかったと思うだろう
そうさすべてのものがめずらしく
何を見ても何をやってもうれしいのさ
そんなふうな赤ん坊を
君はうらやましく思うだろう

かまやつひろし. ゴロワーズを吸ったことがあるかい. [1975] 2003.

そういう点でも、味わい深い初期ファンク史の重要曲としていつかは紹介したかったのですが、とうとうSeason2までずれ込んでしまいました。紹介できてよかったです。*11

月曜日s2e04の6曲は以上となります。さて次回は2021-05-21金、「フューチャーファンク」および「昭和グルーヴ・リヴァイヴァル」シーンの立役者、韓国のDJ「Night Tempo」特集でお送りします。s2eX02、お楽しみに。

*1:Season1; 2021-02-16; Tr. 04

*2:[文・取材] 黒田隆憲 and [写真] 西村満. 2020-09-09. 『逃避行の窓』インタビュー 碧海祐人が語る、楽曲に通ずる“地元からの逃避行”というテーマ 影響を受けたカルチャーも明かす. Real Sound. https://realsound.jp/2020/09/post-615540.html (2021-05-17 accessed).

*3:ウルトラ・ヴァイヴ社. 碧海祐人 逃避行の窓. http://www.ultra-vybe.co.jp/post/VBCD-0107.html (2021-05-17 accessed). 以下一部を引用する:"ノンプロモーションながら多数のspotify公式プレイリストに選出されるなど早くも注目の的となっている名古屋在住SSW『碧海祐人』。石若駿の客演や、ovallやKan Sanoも手掛けるエンジニアが参加して制作された彼の声が世界に届くデビューEPがリリース〔中略〕2019 年12 月に配信シングル「秋霖」をリリース、翌年3 月にオールDIY のMV も公開する。〔中略〕2020年5月には2nd配信シングル「Comedy??」をリリース。〔中略〕初リリースEP「逃避行の窓」は、リードシングルとなるTr.2「夕凪、慕情」ではmillenniumparadeへの参加や米津玄師「感電」でのドラム客演、自身としてもAnswer to Rememberなどの活動で2020年代の音楽シーンを牽引するドラマーの1人石若駿が演奏で客演。また今作のミックス、マスタリングはovallやKan Sanoも手掛ける、big turtle STUDIOSに所属するエンジニアの藤城真人が担当。"

*4:無記名(Music Terra 編集部). 2020-01-29. 海外からも大注目!ジャズ&ファンクで魅せるTokyo Groove Jyoshi が話題. Music Terra. https://musica-terra.com/2020/01/29/tokyo-groove-jyoshi/ (2021-05-17 accessed).

*5:https://open.spotify.com/playlist/0zLxWQX8bPMkSLeAH7ghW0 プロの音楽評論家によるSpotifyリストはためになります。ただし、大部です。

*6:groovyhallastoopid. 2014-11-28. F.B.I. FUNK OF AGES> http://blackfunk.blog.jp/archives/1014401883.html (2021-05-17 accessed).

*7:jazz-funk. 2009-06-22. F.B.I (FUNKY BAND INC). jazz-funkな通勤の一枚. https://ameblo.jp/jazz-funk/entry-10258002850.html (2021-05-17 accessed).

*8:2021-01-15; Tower of Power 特集

*9:引用者注:1994年の『ゴロワーズ』と思われる。Amazon商品リンク: https://amzn.to/3fqcbCR

*10:ジェーン・スー 生活は踊る. 2017-03-04. 追悼。ムッシュかまやつさん。洋楽との意外な接点とは?. TBSラジオ. https://www.tbsradio.jp/125311 (2021-05-17 accessed).

*11:その他参考:北中正和. 2017-03-19. 時代を映したポップスの匠たち vol. 10 時代を越えて評価が高まったムッシュかまやつの「ゴロワーズを吸ったことがあるかい」. What's in. https://tokyo.whatsin.jp/70351 (2021-05-17 accessed).