月夜埜綺譚オンライン・セッション「カメラ・オブスクラ」(前編,編集版)

 2007年09月22日に行ったインディーズのロールプレイング・ゲーム「月夜埜綺譚RPG」のセッションログです。

 ところで月夜埜綺譚RPGとは、

 現代日本の郊外に暮らす普通の人々の生活をシミュレートしながら、なぜか普通人であるはずのプレイヤーキャラクターたちに襲い掛かるさまざまな事件を解決していく、というちょっと変わった趣向のTRPG
(月夜埜綺譚製作員会)

 です。
 「新感覚街系TRPG」とか「現代都市郊外を題材にした伝奇ヒロイック・ファンタジー」といった謳い文句が一応ありますが、ちょっとそれだけではうまくこのゲームの面白さをお伝えすることができません。
 世界背景それ自体は『ダブルクロス』や、現代日本を題材にした場合の『クトゥルフの呼び声』と少しばかり似ているところがありますが、実際そのゲームメカニズムを解析してみれば、それらのゲーム性はまったく異なります。*1
 まず、『ダブルクロス』のように、プレーヤーキャラクターが必ずしも「異能」とか「超能力」とかを持っている必要がありません。しかも、時には「異能」を持っている奴よりも社会的に成功している普通人のほうがゲーム的に強かったりするのです。しかも、その強さの源泉が、「生活が安定していて、街の人々の信頼を勝ち得やすいから」というのだからさらに面白い。
 このように、このゲームでは「街でマトモに生活している」ことが、強さの大前提になります。怪光線一発で人を殺す大悪人に立ち向かえるのが、同じような超能力者である必要はない。それが月夜埜綺譚の思い切りの良さであり、その他の現代伝奇的なヒロイズムを題材としたゲームと一線を画すところです(そのコンセプトを支える幾つかのルールがあるのですが、それはおいおい紹介しましょう)。
 また、この『月夜埜綺譚』は伝奇モノである以前に、「英雄物語」です。したがって、とにかく宇宙的な恐怖に遭遇してそこから生き延びるという「疑似体験」をゲーム的に楽しむ『クトゥルフの呼び声』とは、想定されたゲーム性がまったく逆の方向を向いています。このゲームは、「現代の郊外に暮らすフツーの人々」が怪異に遭遇する、という点ではホラーちっくですが、そこから「なんの特殊能力もない自分達が、それでも怪異や異能といった超存在とどう立ち向かうか」という困難にあえて挑戦していくという点で、完全にヒロイックファンタジーなのです。
 そういうわけで、『月夜埜綺譚』は、『ダブルクロス』のように「超能力者同士のバトルと、そこに至るまでに編まれるキャラ同士のドラマチックな葛藤」をゲーム性の中心に置いたわけでもなければ、「宇宙的恐怖に遭遇しながらも、その真相を探るまで怖いものみたさで狂気と戦う探索者の気持ち」をゲーム性に置いたわけでもない、いままでにないところを突いてきたゲームなのですね。
 そんな「変わった趣向」を説明していくために、今回遊んだリプレイに注釈を加えつつ、一篇のシナリオが駆動する様子をご覧いただければと思います。

 プレーヤーの一人であるダースさんが記録・公開してくださった生ログを、若干物語風に読めるよう編集を加えたものです。

 生ログはこちら。ダースさん、ありがとうございます!

・カメラ・オブ・スクラ(前編)
・カメラ・オブ・スクラ(後編)

 活躍する主な登場人物は以下の通り。

■「カメラ・オブスクラ」登場人物(プレーヤーキャラクター)一覧

bold;">風祭右京:電機会社勤務の営業担当。35歳、男。平和な家庭生活を営むサラリーマンであるが、一方で心霊関係のネタ記事を公開しまくるプチ人気ブロガーでもある。元高校野球選手という意外な一面を持つが、ドラフト指名に関して苦い記憶があるらしい。*2(担当プレーヤーはダースさん)
bold;">星野華美:ショッピングセンターの正社員。27歳、女。しかし実は「月夜埜綺譚」世界に存在する秘密結社「門衛」*3のエージェントでもある。コードネームSDX。しかし門衛からは特に指令があるわけでもなく、仮の仕事も中堅になってしまった。「門衛」に与えられた仮の両親*4ともうまくやってるので、もうぶっちゃけ結社の仕事なんてどうでもいいかなーと思っている今日この頃らしい。(担当プレーヤーはふうるさん)
bold;">シバサキヨウ:本名「芝崎陽」。5年くらい前に脱サラして、3年前に奇跡の30歳デビューを果たした街系シンガーソングライター。「変態チックでねちっこいサウンドと、感傷的で腹持ちの良い文学的な歌詞」が評判となる。ワーカホリックで女性関係はただれぎみ。要するにダメ男。(担当プレーヤーは高橋)
bold;">相沢勇:数年前に死んだはずのお姉さんの霊が見える不思議な能力をもった少年。*5小学3年生で、大人たちに「可愛い」と思われるような風貌をしているらしい。最近知り合った三上おじさんのことが気になっている。(担当プレーヤーはかざねさん)

 生ログをいじって、物語の進行と、月夜埜ならではの情報提供のスタンスが明確になるよう(つまり月夜埜綺譚ならではの「運用教則」がみえるように)まとめたつもりです。

 それでは、お楽しみください。

続きを読む →

「3者関係」構図の違いと〈段階的な運用〉について

 「意図」について鏡さんからさらにコメントを戴きました。
■鏡2007.09.22「意図は命令、理想的な遊び方可能説」『卓上RPGを考える』
http://www.rpgjapan.com/kagami/2007/09/post_96.html
 何度か読ませていただくうちにだいぶ理解できたのですが、私が想定していた「意図」の概念とはまた違った利用法(=ベンリさ)を、念頭においていらっしゃるようですね。

続きを読む →