RPGにおける2つの法思想─〈法律主義〉と〈判例主義〉

 こないだ前編だけ書いた、「ゲームトークンの死と、システムレベルのデザイン目標」の後編については、草稿がまとまらず、公開がしばらく先になりそうです。どうもすみません。

 ところで、今年の4月にid:D16さんが書いていらっしゃった記事を久しぶりに読んで、思い出したことがあります。前々から私は「RPGって、法学の用語で語るとだいぶ整理がつくんじゃないか」と思っていたのですが、D16さんも実は似たような発想で、D&Dの新しい面白さについて語っていたのですよね。

 今回、私がこのエントリで示す考えは、以下の通りです。

■高橋2007.09.19「RPGにおける『法律主義』と『判例主義』」の論旨:

  1. 法学における〈法律主義〉と〈判例主義〉の2つの立場は、RPG業界にも実は暗黙のうちに存在している。
  2. そしてその2つの立場は、システムデザインやシナリオ作成など、RPG製品を開発するにあたっての「法思想」として、深く根を下ろしている。
  3. したがって、RPGにおける〈法律主義〉と〈判例主義〉の2つの立場を正しく理解することは、私達RPGゲーマーがゲームをより楽しく遊ぶために役立つ。

 「〈法律主義〉?〈判例主義〉? なんじゃそりゃ?」 と思われるでしょうが、この言葉の意味は、いまはとりあえずおいておきましょう。本文中で改めてまとめていますので、申し訳ありませんが、まずは順番にに読まれることをおすすめします(先に定義だけ確認したい方は、後のほうで太字でまとめていますから、先にそちらを参照なさってください)

 まずは、D16さんの記事を紹介していくことにしましょう。
 D16さんの記事に出てくる「法令(法律)」と「判例」という対比に注目するところから、このエントリの議論は出発します。

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RPGにおける3つの遊び方─典型的・アクロバティック・理想的

 『RPG日本』の鏡さんが、〈意図〉と〈自由/管理〉の関係について、さらに補足してくださいました。

■鏡,2007.09.16「制限の中の自由、制限の中の管理」『RPG日本』
http://www.rpgjapan.com/kagami/2007/09/post_94.html

 鏡さん、どうもありがとうございます。「今後の貴考察の参考にならなくとも」と謙遜されていますが、まったくそんなことはありません。非常に有益なお話を聞かせていただきました。

 詳しい感想やコメントは後半で述べさせていただきましたが、まず、鏡さんと私とで、〈制限〉の考え方がまったく同じであるということがわかって、とても安心しました。RPGに関する議論で、使われている術語の意味合いが同じだと感じられるのは、ものすごく珍しいことだと個人的に思っています。

 私は〈制限〉という言葉を、馬場秀和さんの一連の文章から定義して使っているのですが*1、馬場さんも鏡さんも(そして私も)、「背景世界」「ルール」「システム」をすべてひっくるめて〈制限〉と考えているという点“においては”*2同じです。

 なので、今回の〈制限〉と〈管理〉の違いは、私にとってとてもわかりやすく、また非常に納得のいくものでした。
 さて、以下より、その〈管理〉という言葉についての鏡さんの議論を私がどう解釈したのか、述べていきたいと思います。
 なお、このエントリの結論だけ先に述べておきます。

■高橋2007.09.16「RPGにおける3つの遊び方」の論旨:
 RPGには〈典型的な遊び方〉と〈アクロバティックな遊び方〉の2つがあり、どちらもRPGを遊ぶ上では適切かつ重要な遊び方であるが、一方で〈理想的な遊び方〉というものはありえない(否定されるべき考えである)。

 このことさえ伝われば、このエントリの目的はとりあえず果たされたことになります。
 また、本文中で特別な意味を与えられている言葉もあります。迷わないように、そういった言葉を以下に列挙しておきます。「何を言っているのかわからない」という時は、以下の言葉がどのような意味で使われているのかという前提が共有できていない可能性をまず考えてみてください。
 私は今回の記事で、少なくとも以下に出てくる言葉については、それがどのような意味であるかを、本文中や注釈などに示したつもりです。ですから、いささか面倒をおかけすることは承知の上で、以下のキーワードがどういう風に定義されているのかを探しつつ、読んでみてください(別に隠しているわけではないので……)。

■頻出キーワード(特別な意味を与えられた言葉たち):

  • 〈制限〉
  • 〈意図〉
  • 〈自由〉
  • 〈管理〉
  • 〈典型的な遊び方〉
  • 〈アクロバティックな遊び方〉
  • 〈理想的な遊び方〉

 それでは、はじめましょう。

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