#FalettinSouls 2020-12-10

とにかくPerfumeのマカロニとBill Withersを早く紹介したかった気持ちを覚えています。

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01: さかいゆう. Blooklyn Sky. 2019.
02: 亜咲花. SHINY DAY. 2018.
03: Graham Central Station (Larry Graham). It’s Alright. 1975.
04: ピチカート・ファイヴ. スウィート・ソウル・レビュー. 1993.
05: Bill Withers(& Grover Washington, Jr. ). Just the two of Us. 1980.
06: Perfume. マカロニ. 2008.

【2020-12-10 朝】

おはようございます。平日にやってるファンク&ソウル楽曲6曲紹介マラソン #FalettinSouls が今日もはじまります。今日は小特集「ソウルのさまざまな追跡」をお送りします。

【夕】

みなさん、午後もがんばってますか。あかるいニュース、かなしいニュース、色々ありますが、きょうもソウルについてだべりましょう。2020-12-10木曜の楽曲について手短にかたります。

1. さかいゆう. Blooklyn Sky. 2019.

さかいゆうは、オフィスオーガスタ所属の鍵盤弾き兼ボーカリスト。22歳まで音楽の素養が何もなかったのに単身ロス武者修行して「歌えるジャズキーボディスト」になったという、『ホーリーランド』の主人公かよ、みたいなひとです。[1]阿部美香 [インタビュー・テキスト] and 田中一人[撮影]. 2015-02-04. さかいゆう、孤独を極めた先で得た一流ミュージシャンからの信頼. cinra.net. … Continue reading

さかいゆうの作る音楽の雰囲気は、1960-70sのジャズフュージョンとかネオソウルなどのオーセンティックな雰囲気がわりとあるなー、と思いながら聴いてますが、wellmadeではあるもののなかなか個人的に心に刺さる曲があんまり思いつかない。でもこの近作はアレンジも歌い方もめちゃカッコ良いですね。

2. 亜咲花(あさか)SHINY DAY. 2018.

ジャクソン5によってめちゃめちゃ稼いだR&Bの老舗レコードに「モータウン」というのがあるのですが、この曲はまんまジャクソン5が売れてた時代のモータウンサウンドのアレンジをパk取り入れてますね。

6曲の中にいれると亜咲花さん(のサウンドP)に対していやらしすぎるかなと思って入れなかったのはこれです:Jackson5. I want you back. 1969. ご存知マイケルジャクソンの少年時代のキャリアですね。今聴いてもオシャレ。

SHINY DAYS はメロディや展開は全然違うので、モータウンサウンド風でありながらちゃんと独立した楽曲としてもいいと思います。とはいえ亜咲花さん(アニソンシンガー)がほかにあまりR&B的な文脈はそんなに歌ってなさそうなのはやや残念。SHINY DAYSは『ゆるキャン△』アニメ版のOP曲としても人気です。

3. Graham Central Station (Larry Graham). It’s Alright. 1975.

ラリー・グラハムは、西海岸ファンクの祖と言えるファンクバンド Sly & The Family Stone のベーシストです。リーダーのスライがコカイン中毒でボロボロになり始めた頃にラリーは自分でも曲を作りました。

ラリー・グラハムが嚆矢とされる「スラップベース(昔はチョッパーベースとも呼ばれていた)」奏法は、エレキベースの音に関心のある世界中のミュージシャンに影響を与えました。日本では細野晴臣(はっぴいえんど, ティンパンアレー, YMO, META FIVEなど)、山下達郎が影響を公言してますね。

細野晴臣は、坂本龍一のNHK音楽教育番組『スコラ 音楽の学校』でベース音楽講座回のゲストとして登場し、YMO3名とコーネリアス小山田圭吾の4名で”Thank You (for Talkin’ to me Africa)” を実演してたりします。これの細野晴臣のベースがラリーグラハム・リスペクトというわけ。

4. ピチカート・ファイヴ. スウィート・ソウル・レビュー. 1993.

ピチカートファイヴは、小西康陽と野宮真貴を主軸とするグループ。1990年代にフリッパーズギター(小沢健二)やオリジナルラヴ(田島貴男)などの活躍と同時期で、ざっくりと「渋谷系」と呼ばれたりしてました

とはいえ、ピチカートファイヴは野宮真貴以前にも活動を続けていて、実は80年代から長く続いていたバンドでもあります。なので小西康陽は「最後までピチカートファイヴ名義で頑張ってた作曲家」でもあります。野宮真貴の前には田島貴男がピチカートファイヴのヴォーカルをしてたりするなど、交流は複雑。

この1993年のスイートソウルレビューの頃は、すでに野宮真貴ヴォーカルが定着している頃のピチカートファイヴであり、カネボウ化粧品のCMソングとして「ほほ頬ずりしたくなるでしょ」というパンチラインが提示されました。90sを永久保存したかのようなポップさは、野宮ピチカートファイヴの魅力ですね。

ちなみに小西康陽さんは札幌南高等学校出身。母校やん。何度かみては驚き、その度忘れてるな。

5. Bill Withers(& Grover Washington, Jr. ). Just the two of Us. 1980.

ビル・ウィザーズはファンク&ソウルの「マジでかっこいいフレーズ」を考える上で本当に超絶キーパーソンなんですが、この曲じつは作曲はビル・ウィザーズ自身じゃないと今回知って驚きました。まあしかしビル・ウィザーズのライヴ盤とかでもよく歌われるので、だいぶビル・ウィザーズが「モノにしてる」感の強い曲ですね。

ところで、このビル・ウィザースの曲を聴いた後に、スガシカオの「夜空ノムコウ」セルフカバーを聴いてほしいんですよ。

Spotifyにほぼほぼあるスガシカオ曲ですが、「夜空ノムコウ」アレンジ版がある『Sugarless』はSpotifyで聴けないんですよね。ライヴベスト盤にさえない(河村結花版は聴けるので、スガシカオさんがSMAPに仁義切ってる可能性もある)。これのアレンジがね、ビル・ウィザース風なんですよ。

自分はビル・ウィザースを、Shikao & The Family Sugar の沼澤尚(ぬまざわ たかし)さん経由で数年前に知ったんですが、スガシカオ楽曲にビル・ウィザースの影響については気づいてなかった。聴きなおして「うわーっ、スガシカオ版夜空ノムコウとビル・ウィザース聴き比べてくれーっ!」となりました。

円盤、円盤を買うんだ、世の事務所やらなんやらのいざこざであっけなく特定の音源は聴けなくなるんだ……。という話でもありました。

6. Perfume. マカロニ. 2008.

日本の音楽シーンに「アイドル×テクノポップ」という概念を定着させたPerfumeと中田ヤスタカさんですが、B面とかではこういう四つ打ちとR&B音色を取り混ぜたメロウな曲も作ってたりします。

このマカロニについては、「Perfumeだとマカロニが好きですかね」と大学部活の先輩に言ったら「なんか君、その志向はオタクっぽいぞ?」と言われて未だに釈然としなかったことを思い出しますね(心の底では根に持ってたのか、優しいその先輩とは自分から疎遠になってしまった)好きで何が悪い!!!

以上です。#FalettinSouls は、選んだら選んだだけの小理屈をいくらでも書ける6曲で、平日朝更新でほぼ毎日お送りしています。明日はレキシすぺしゃるの予定です。

#FalettinSouls 2020-12-09 小特集:ソウルシンガーズ

和田アキ子とトータス松本をクラシックソウルシンガーの継承として眺めてみる特集でした。
メイシオ・パーカーのSing A Simple Song は、Sly & The Family Stone のカバーですね。
当日は日本のファンクバンド、てつ100%のTower of Power 的ファンクパワーに驚かされた人が多いようです。

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  1. 和田アキ子. 悲しい歌. 1998初出.
  2. てつ100%. 私の自転車. 1987.
  3. Maceo Parker. Sing A Simple Song. 1998.
  4. トータス松本. Twistin’ the night away. 2012.
  5. Sam Cooke. A Change is Gonna Come. 1964.
  6. Curtis Mayfield & The Impressions. Move on Up. 1970.

【2020-12-09 朝】

FalettinSouls おはようございます。週の半ば、のりきってゆきましょう。今日はプチ特集「日本の(やや狭義の)ソウルシンガー」をお送りします。邦楽では意外に思われるかもしれないカバーを2曲。洋楽にはややスタンダードすぎるくらいのスタンダードを置きました。

1. 和田アキ子. 悲しい歌. (orig: ピチカート・ファイヴ, 1995) 1998.

収録は『フリーソウル 和田アキ子』から。ピチカートファイヴの原曲を実力で歌い上げます。忘れられがちですが、和田アキ子さんって初期は特に女性R&Bシンガーとしての特色が出てる方だったんですよね。私が生まれる前ですけども。

2. てつ100%. 私の自転車. 1987.

てつ100%の中で最も出世したのは、キーボード兼アレンジを担当していたアニメ曲の女王、菅野よう子さんですね。彼女のカウボーイビバップや攻殻機動隊の楽曲に、濃厚なファンクやソウルの要素を織り交ぜられるのも納得のてつ100曲です。

3. Maceo Parker. Sing A Simple Song. (orig: Sly & The Family Stone, 1969) 1998.

原曲はSly & The Family Stone の1969年の同名曲です。つまりメイシオパーカーバンドによるカヴァーですね。

アルバムタイトルが「Funk Overlord(ファンクの上帝)」と大きく出てるんですが、このメイシオパーカーさんはその名に値する人。なぜならファンクの創始者ジェイムズブラウンとP-FUNK軍団、両方に参加したファンク史の生き字引的だから。🎷 圧倒的演奏力!(と乏しい語彙力)

4. トータス松本. Twistin’ the night away. (Sam Cooke, 1960) 2012.

これはトータス松本の全曲カヴァーアルバム、かつ、そのカヴァー対象がサム・クック(伝説のソウルシンガー)の当時の稀覯盤1枚まるまる、という本気の企画です。トータスさんによるサム・クックへの恋文的アルバムですね。

ちなみに当時はレア音源だったTwistin’ the night away (サム・クックのアルバム)は、今CD化されなおしており、Spotifyでも聞けます。open.spotify.com/album/406RCIvK…

5. Sam Cooke. A Change is Gonna Come. 1964.

サム・クックは、JBによりソウルシーンがファンクや現代R&Bにも派生していく直前のスーパースターで、いかにもこれがソウル的だ、とイメージできるアンセムをたくさん残してます。その中でもこれは名曲。

この曲が出た当時は、公民権運動の只中でもありました。その中で、米国内のアフロアメリカン(最近はアフリカ起源じゃない黒人までアフロアメリカンと呼ぶなという話もあるらしいが……)のみんなにとっての、精神的支柱ともなるような受容をされたそうです。変化がきっとやってくるんだと。

6. Curtis Mayfield & The Impressions. Move on Up. 1970.

たぶんどこかで聴いたことがあるような〜、と多くの人がなるだろうノリノリの曲です。これとハービー・ハンコックのChameleon Manはもうチートかってくらい鉄板のノリノリバンドサウンドですよねー。[1]ノリの種類は違うが……。(2021-06-24加筆)

ということで今日の6曲でした。聴いてくれた人は和田アキ子とてつ100%の意外な実力に驚いてるみたい? 今晩ちょっと元気がない時にガツンとこの6曲、耳に挿れてみてください。

脚注一覧

脚注一覧
1ノリの種類は違うが……。(2021-06-24加筆)

#FalettinSouls 2020-12-08

月曜日。
この週から、可能な限り洋楽と邦楽の割合を3:3にするよう心がけるようになりました。
邦楽側のファンクの層が尽きるまではこの比率を続けることになると思います。
また、この日から解説が入りました。min.t のリンクを下記Spotifyリストの下に貼っておきます。いつかこのBlog本文にも転記するかも。

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01: 大沢誉志幸. Serious Barbarian. 1989.
02: Queen. Another One Bite a Dust. 1980.
03: Afro Parker. Still Movin’ On. 2016.
04: SKY-HI(日高光啓). Double Down. 2016.
05: Chic / Nile Rogers. I’ll be there. 2015.
06: Michael Jackson. Don’t stop ‘til you get enough. 1979.

きょうは多少余裕があるので楽曲紹介するよ。

1. 大沢誉志幸. Serious Barbarian. 1989.

「そして僕は途方に暮れる」などで著名なソングライターです。この曲は長大なファンクに挑戦しています。とにかく展開が多彩。日本のファンクは70年代に遡りがちですが、80sも凄い人がいます。

2. Queen. Another One Bite a Dust. 1980.

先日伝記映画にもなったクイーンの、主にベーシストであるジョン・ディーコンによるブラックミュージックへのリスペクトから生まれた曲とされます。ファンクヲタクとしてはジョン・ディーコン曲ラヴです。

3. Afro Parker. Still Movin’ On. 2016.

生音を演るhiphopリーマンバンドとして活動を続けてます。先般はヒプノシスマイクの観音坂独歩曲「チグリジア」の楽曲提供でも話題になりました。ヒップホップとファンク&ソウルのルーツの近さを感じさせる展開です

4. SKY-HI(日高光啓). Double Down. 2016.

男女混成のエイベックス系アイドルグループ「AAA」の中でも特にラップを愛する日高さんによるソロHIPHOPプロジェクト。『フリースタイルダンジョン』主題歌への楽曲提供が知られますが、自分はこの曲辺りが好き。

5. Chic / Nile Rogers. I’ll be there. 2015.

R&B楽曲のPとしても、Chicというファンク&ディスコバンドのギタリストとしても著名なナイルから一曲です。敢えて雑に喩えると、「マドンナやデビッドボウイを1980sにヒットさせたif小室哲哉」規模。それがナイルロジャース。

6. Michael Jackson. Don’t stop ‘til you get enough. 1979.

言わずと知れたポップの帝王ですが、MJ作品の中でもアルバム『Off the Wall』が特にファンク&ソウル文脈で聴けると、かつてピーター・バラカンも言ってましたね。爽やかにアガります。

以上6曲、個別でも聴けますが、今日のリストとして順に聴いてみてください。国内外どっちもやるじゃんという気分になれます。本当は毎日これくらいのことを各曲について言える準備はしてるんですが、疲れて選ぶだけで終わってますね。