#FalettinSouls s2eX01 Cory Henry & The Funk Apostles

※2021-05-14(Fri) 実施の特集回Twitter投稿を再編した記事です。

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1. Cory Henry. Back When. 2014.
2. Cory Henry and Robert Randolph. Takes All Time. 2018.
3. Cory Henry. Seven. 2012.
4. Cory Henry & The Funk Apostles. Switch. 2020.
5. Cory Henry & The Funk Apostles. Rise. 2020.
6. Cory Henry & The Funk Apostles. [cover] [live] Controversy – Live in LA. 2020. (orig: Prince. 1981.)

【2021-05-13(Thu)】

ファンク&ソウル文脈紹介プログラム #FalettinSouls Season2: 明日の金曜Extra第1回は、ファンク/ジャズ・キーボーディストのCory Henry (コリー・ヘンリー)特集でお送りします。

6曲縛りだけど通しで聴くと疲れる組み合わせになりましたので、周回する際は耳に注意。ファンキー度は本シリーズ指折り。

アーリーアクセス(?)はこちらから。金曜夕方まで解説はしません。今日から聴き始めてもいいし、明日の夜以降に解説付きで聴いてもヨシ。

【2021-05-14(Fri) 朝】

おはようございます。感染者が一時的に減ったとはいえ近畿圏はまだまだしんどい状況です。最近は身近な人々のコロナへの危機感のなさに驚き呆れたりして疲れています。そういう不毛な感情を一時的にでもリセットするためにも音楽はありがたい存在です。

さっきのは #FalettinSouls のマクラです。Season2 は
(a) 毎週最初のワーキングデイ6曲(定期実施)と
(b) 毎週金曜の単一ユニット特集6曲(準備の有無により不定期実施)
の週1-2本立て構成で取り組むと宣言して始めました。
今日はその金曜回の初回、Season2 Extra episode 1 (s2eX01) となります。

s2eX01 で取り扱うユニットは、Cory Henry ( & The Funk Apostles) です。解説は本日夕方以降となります。

36分構成ですので、周回する際は計画的に。今回は音源の圧がすごいんですよ。聴くたび体力持ってかれるほどすごいです。

【昼】

今日のCory Henry特集の6曲目回して午後への突入準備してる。[1] … Continue reading

【夕】

♪♬♬♬♬♬♬♪

夕方になりました。ファンク&ソウル文脈のSpftifyをネタに音楽トークをするだけのTwitterエクリチュールラジオ、#FalettinSouls Season2 eXtra-episode01 (s2eX1) の時間です。今回の主役はCory Henry & The Funk Apostles です。

さっそく行きましょう。

1. Cory Henry. Back When. 2014.

1曲目は大人しい入り……かと思いきや02:30を超えたあたりで突然ファンキーなジャズ・フュージョンのモードが爆発し、再び静寂に戻っていく……という、一筋縄ではいかない曲ですね。カッコいいけど、咀嚼しづらい。

この鍵盤を弾いているのがコリー・ヘンリー。大人気大所帯ジャズバンド Snarky Puppy の鍵盤奏者・オルガニストでした。2010年代にソロでも頭角を表して独立。2018年以降はバックバンド The Funk Apostles(ザ・ファンク・アポストゥルズ)を引き連れ、ファンク&ソウルの福音を届ける音楽家に。

コリー・ヘンリーは幼少期には教会音楽で育ち、特に電子オルガンによる奏法を磨き上げてきました。現在コリー・ヘンリーは《ハモンドオルガンの魔術師》という二つ名を持つことでも知られています。Back When は序盤でピアノ、中盤で主旋律はエレクトリックピアノが鳴ってます。

伴奏部分にクラビネットのようなジャウワウした音も鳴ってる気がしますが、別の弦楽器かもしれない。左手が空いてるはずなのでクラビを弾いていてもおかしくないが。とにかく展開から何から技巧に圧倒されます。私はWeather Report の楽曲に没頭していた記憶が沸騰したかのように蘇ってきました。

2. Cory Henry and Robert Randolph. Takes All Time. 2018.

2曲目はファンクギターの大御所、ロバート・ランドルフとの共演となります。リズムの基礎は、スティービー・ワンダーなど70sニューソウルと、同時期のオークランドファンク(タワーオブパワー)の双方に通じる所あり。

ロバート・ランドルフはSeason1 で Acantha Lang さんの紹介をした時にも触れましたね。[2]Season1; 2021-02-01; Tr.05コリー・ヘンリーはこの2018年アルバム “Art of Love” が、not ジャズ but R&B なアルバム、しかもバンドサウンドのアルバムとしての第一作でした。その場にファンクの先達を呼んだという文脈がある。

3. Cory Henry. Seven. 2012.

3曲目。これは直球のハモンドオルガン・ジャズです。

この3曲目まで聴いていただけるとわかると思うんですが、コリーには2つの畑があるんですよ。Back WhenやこのSevenなどのジャズ畑と、Takes All Timeほかこのあと紹介する曲のようなソウル畑。

ハモンドオルガンというのは、そもそもが現代の教会音楽に欠かせない、ゴスペルやソウルのための演奏装置です。他方でこの電子オルガンは「オルガン・ジャズ」なんて一大ジャンルもあるくらい、ジャズにとっても優れた楽器でもある。(参考にB3 ハモンドオルガンの紹介Youtube動画を置いておきます。)

一桁年齢の頃からオルガンに親しんだコリー・ヘンリーは、(a) Snarky Puppy でジャズを演れるし、(b) ソウル・ゴスペル・(そしてそこから生まれてきた)ファンクにも行ける。そしてそのどちらでも、グルーヴやファンクネスを追求できる。美味しい技量を持った鍵盤弾きなのですね。

Twitterでは紹介しきれなかったCory Henry自身のハモンドオルガン演奏の現場もYoutubeに上がっているので、紹介しておきます。これは2017年なのでArt of Loveリリース前みたいですね。

4. Cory Henry & The Funk Apostles. Switch. 2020.

いよいよ “& The Funk Apostles” 時代の音源に入ってゆきます。

4曲目は2020年のアルバムから。これはもう前3曲よりもハッキリと「ファンク」として鑑賞できると思います。ここからの後ろ3曲は、彼のバックバンド《ファンクの使徒たち/The Funk Apostles》と一緒に練り上げた音源です。

【キーボード/オルガン/ボーカル/作詞作曲】Cory Henry
【ギター/共同作詞】Adam Agati
【ベース】Sharay Reed
【ドラムス/パーカッション】Taron Lockett
【第二キーボード】Nick Semrad

おそらくこういう面子になるかしら。これにサポートメンバーもいるかもしれませんが。[3]参考記事:jazz aspen snow mass. n.d. Get to know the Funk Apostles. https://jazzaspensnowmass.org/get-to-know-the-funk-apostles/ … Continue reading

5. Cory Henry & The Funk Apostles. Rise. 2020.

5曲目はさらにどっぷりとファンキーに。しかもこの曲の歌詞は、おそらくかなり明確に2020年のBlack Lives Matter をコリーなりに引き受けて歌ってるように見受けられます。

We all need to look at history
What we’ll find is, that repeating, uh-huh
It won’t change ’til we all come together
Tell the truth now. Look, it’s in the mirror

みんな歴史を振り返ってみよう
同じことが繰り返されているのがわかるから
和解するまで 変わることはないだろう
本当のことを教えてあげよう それは鏡の中にある

Cory Henry & The Funk Apostles. Rise. 2020.

後半にははっきりと slavery (奴隷/奴隷制/隷属状態) という言葉まで出てきます。

Feels like somehow I lived this life before
Check through the books and my ancestors went through way more
We might have to fight technology
Or we will end up back in slavery

こんな人生を前にも生きていたように思う
本で調べてみよう 祖先がもっと苦しい道のりを経てきたこと
きっとテクノロジーと戦わなければならないんだ
でなければまた奴隷制に逆戻り

Cory Henry & The Funk Apostles. Rise. 2020. ※訳詞はいずれも筆者による

中期Sly的な西海岸様式のファンク、もっとぶっちゃけていえば I want take you higher 風の楽曲をファンク使徒なりにテーマを咀嚼して再現して見せたのが、このRiseなんだろうと思わされました。ちょっとベタな本歌取りともいえなくもないですが、BLMとの合わせ技で一本取られた感じの名曲ですね。

6. Cory Henry & The Funk Apostles. [cover] [live] Controversy – Live in LA. [orig. Prince. 1981] 2020.

6曲目、託宣者コリーとファンク使徒たちの大問題作です。これ聴きました? 最後まで? よろしい、感想を尋ねましょう……。これさあ、“もってかれ”ませんでした?

これ、プリンスの1981年アルバム『Controvery/戦慄の貴公子』の表題曲なんですけどね。原曲は、こんな感じじゃあないんですよ。ミステリアスな殿下が「俺のことを黒だとか白だとか言っているが……」とボソボソ〜ッと歌ってる曲なんですよ。それもカッコいいんですけどね? こんな曲調ではない。

殿下自身の1982年ライヴバージョンも一応あるんですが、それでも原曲の抑制から大きく離れているという印象はそこまでないです。

初期プリンスの秘教めいたミネアポリスファンクが、託宣者〔オラクル〕とファンク使徒〔アポストゥルズ〕の再話によってゴスペルファンクとして奇跡の再誕を遂げたというか、そういう衝撃がありました。あまりに衝撃的すぎて何回聴いても聴き切った気がしないもん。

歌詞も検討してみましょう。これがPrinceの原曲の歌詞です。(歌詞は私家訳です)

ただ他人〔ヒト〕の言っていることが信じられないだけ
Controversy〔「異議あり」〕
僕が黒人か白人か ストレートなのかゲイなのか
Controversy〔「これは揉めるぞ」〕
神を信じるかい それとも俺を信じるかい……

Controversy〔「問題だらけだ」〕
Controversy〔「神など」〕
Controversy〔「お前なんか」〕

他人〔ひと〕の好奇心が度し難い
Controversy〔「どうでもいい」〕
Controversy〔「極めて重要だ」〕
君にとって良かったかい 望んだ通りの人間になれたかい……
Controversy 〔「どうかな」〕
ハイになれてるかい 父さんは泣いているかい
Controversy〔「どうだろう」〕
Controversy〔「なにもわからない」〕
Controversy〔結論は出ない〕

神を信じるかい それとも俺を信じるかい……
死にたいやつもいるみたい それで自由になれるんだって
僕は言った「人生なんてただのゲーム みんな同じさ」って
遊んでみたいかい……
Controversy〔「そんなわけがないだろう」〕
Controversy〔「神への冒涜だ」〕
Controversy〔「ああ、ああ、死にたいなあ」〕
Controversy〔世に論争の種は尽きず〕

Prince. 1981. Controversy.

自分は、ダニー・ハザウェイの『Live』の、Tr.01 “What’s Going On” の信じられないほど洒脱なカバーから、彼の持ち曲の”The Getto” のライヴセッションバージョンに至る流れの時に得た感動を追い求めてファンク&ソウルを聴き続けてるところがあるんです。その文脈で言うと、コリー・ヘンリー版Controveryは、そのダニーのライヴ盤を浴びた衝撃に限りなく近かった。たぶん、グルーヴィな電子鍵盤とソウルフルなボーカルというのが、私の音楽鑑賞者としての急所なんでしょう。

しかもコリーはまだ30代半ば。夭折したダニーを超えて、もっと高みを目指して欲しい。個人的には、私はウーリッツァー(というヴィンテージ電子鍵盤楽器があります)の音が大好きなので、コリー流のウーリッツァーの名曲をばかすか出して欲しいですね。これからもファンク使徒を伴ってファンクの福音を届けてくれーっ(もはやただのファンの叫び)。

というわけで、36分聴き切った皆さんお疲れ様でした。初めてSeason2で月金揃った回をコンプした人、今シーズンはこんなノリでやっていきます。どうぞよろしくね。来週月曜日は予定通りS2e4の6曲を淡々とお届けします。金曜特集は……やるかどうか今のところ半々! お楽しみにー。

脚注一覧

脚注一覧
1ほか、昼にカーク・フランクリンのオルガンを聴いていた時のどうでもよいつぶやき:「カーク・フランクリンかっこいいし、なんかあれだな、アメリカのキリスト教教会における黒人霊歌の厚みがほんと羨ましいし、日本の宗教団体もゴスペルみたいなの作ってほしい(発想の飛躍しすぎ)。;諸行無常をテーマにいろんなラップに乗せてdopeなトラックを作る宗教団体どうですかね。;もちろんゴスペルみたいな自然発生的な文化にはなりようがないけど、「聖歌隊出身で歌がめちゃうま」という流れ、日本でも精神文化的に意義のある形でできんもんかな。;アメリカ人がゴスペルとソウルのあいだで葛藤したこともわかった上で無茶を言っている。;「おおブッダよ、歌唱は煩悩に入りますか、それとも正道に入りますか」、みたいな?」
2Season1; 2021-02-01; Tr.05
3参考記事:jazz aspen snow mass. n.d. Get to know the Funk Apostles. https://jazzaspensnowmass.org/get-to-know-the-funk-apostles/ なお集合写真には7人いるので、全員を把握できていない可能性が高い。Cory Henryのアルバムを買ってクレジットを見ないとダメかもしれないですね。Spotifyの限界ッ!

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