#FalettinSouls s2e22

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1. 岡村靖幸. ぶーしゃかLOOP. [2011] 2016.
2. Emma-Jean Thackray. Green Funk. 2021.
3. Maceo Parker. Chicken. 1991.
4. kiki vivi lily and Sweet William. New Day. 2021.
5. CAN. Hallekuhyah. [1971] 2013.
6. The Three Degrees. Woman in Love. [1978] 2009.

【2021-10-02月 朝】

おはようございます。一年で一番過ごしやすい季節が来ましたね(※秋花粉のひと除く、念のため)。今週の #FalettinSouls をお送りします。s2e22 (Season2, Episode 22) です。

岡村靖幸とMaceo Parker は既出、Emma-Jeanも2回目、他が初紹介です。

【2021-10-08金 夕方】

FalettinSouls の宿題が溜まってるので喫茶店詰めになって仕上げます。s2e22から。

1. 岡村靖幸. ぶーしゃかLOOP. [2011] 2016.

邦楽ファンクを沢山紹介する #FalettinSouls ではスガシカオと並んで常連の岡村靖幸です。新しいメンツを紹介したほうがいいのに敢えてこの曲にしたのは個人的な理由があります。

この曲の初出は、3度の覚醒剤使用により実刑判決から戻ってきたあとの最初の新曲トラックとして出たこの2011年のYouTube動画です。

この10年前の(……10年前の!?)動画から10年間、過去のノリを保持しながら、家庭を持つ父親としての側面もパフォーマンスの中に覗かせる新生岡村靖幸としていろんな曲を繰り出してきたのですよね。

で、こないだの10月01日に緊急事態宣言が終わりましたよね。その日は金曜で、サイゼリヤがだいぶ暫くぶりにワインを解禁してくれたんですね。で、デキャンタL(500ml)を2杯飲んでしまった。

サイゼリヤで肩肘張らずにワイン(と飯)がいただけることですっかりアッパー側に酔ってしまった自分はだいぶ酩酊したのですが、その時に自分の大脳新皮質の下の方から訴えかけてきたファンクがこの「ぶーしゃかLOOP」の“ぶー!” の部分だった。

たぶん23歳 うーっ
たぶん、たぶん、たぶん23歳 うーっ
ちきっ ぶんぶーん
うっ べいべ べいべ べいべ あーっ
ぼんちゅがっすどどっ ぱっ ヘイ ダッ
〔中略〕
ぶー ぶーしゃからか ぶー
アイセイ ぶー ぶーしゃからか ぶー
ぶー ぶーしゃからか ぶー
それ126ってフリーランスのノン
ぺんぺんぺんぺんぺんぺんぺん草

岡村靖幸. ぶーしゃかLOOP. [2011] 2016.

あたりのノリが、完全に酒が入った時の気分と一致して、岡村靖幸の本能(というか理性を剥がした時)に訴求する力を10年越しぶりに喰らったような思いがしました。

ところで、この「ぶーしゃかLOOP」は、2011年初公開から5年かけて、アルバム『幸福』に別アレンジで収録されました。今回紹介しているのもそのバージョンです。そしてこのバージョン、リズムマシンの刻む音に乗せて“少年のヴォーカル”がファンキーに乗ってるんですよね。

『幸福』のアルバムジャケットでは、おそらく父であろうPOVが風呂場の浴槽の中に沈んでおり、その股の間で子供が剥いた蜜柑を差し出しているという、図像的な意味に溢れた構図になっています。エロティックな表現を得意とした岡村靖幸が「親子」「家族」という表現を得たのだなあ、と思ったものです。

【2021-10-17追記】

「ぶーしゃか」「ぶーしゃからか」の出自については、Sly & The Family Stone およびそれをよくコピーしていたPrince からではないか、という考察をしている記事がありました。

ブラックミュージックの伝統的スキャット「Boom Shaka laka」(これはスライの「I Want to Take You Higher」の中の合いの手でBoom shaka lakalaka Boom Shaka lakalaka と唱えたのがはじまり)プリンスの曲1987年作「Housequake」でのshaka laka boomがプリンス的には最初の使用となるが後の1999年作の「Y Should Eye Do That When Eye Can Do This?」でもBoom Shaka laka boomと唱えるものもあり〔中略〕もしくはプリンスのライブ音源(スライのI Want to Take You Higherをよくカバーしてる)などというところから岡村靖幸さんがここ最近出した曲に「ぶーしゃか」を取り入れ〔後略〕

(エスむら 2019)[1]エスむら. 2019-08-22. Shaka Laka BOOM!. SOMETHING IN THE WATER PRINCE BLOG.
http://somethinginthewater.blog.fc2.com/blog-entry-3143.html (2021-10-17 accessed).

確かに言われてみれば I Want Take You Higher の “Boom Shakalakalaka Boom Shakalakalaka” ですね。

2. Emma-Jean Thackray. Green Funk. 2021.

エマ=ジーン・サックレイは、現在注目のUKジャズミュージシャンです。連名では紹介済ですがデビューアルバムがついに出たのでもう一度紹介しています。

「70年代のジャズ・フュージョンとPファンクを結ぶ、あるいはサン・ラやアリス・コルトレーンのような広大無辺な祈りの音楽と、ビーチ・ボーイズの『Pet Sounds』のような華麗なオーケストラアレンジを結ぶ、鮮やかな線を描いていくデビューアルバム」うーんすごい形容。

いつもながら、UKジャズの情報は音楽ライターの柳樂光隆さん経由で得ています。柳樂さんがサックレイにインタビューした記事はこちら。[2]柳樂光隆. 2021-07-07. エマ・ジーン・サックレイ、UKジャズの個性派が語る「変人たち」に魅了された半生. RollingStone. … Continue reading
「父から道教の教えを授かった」や「メンバーは私の思い通りに動いているのに自分たちを自由だと思っている」とか、凄いキャラです。

Green Funk は比較的短い曲で、ほかのもっと長い曲もかっこいいのが多いので『Yellow』1枚ごと推しではあるのですが、ファンク枠で明確に聴けるのを1曲だけ選ぶとしたらこれだなと思ったのでこれにしました。CANの18分と並べるべきではなかったですが。

3. Maceo Parker. Chicken. 1991.

メイシオ・パーカーも何度か紹介済です。今回は我ら日本人ソウルファンの心のソウル・ヨーダ、ピーター・バラカンさんのラジオ番組『バラカンビート』[3]InterFM. 『バラカンビート』公式Webサイト. https://www.interfm.co.jp/barakanbeat/ を久しぶりに通しで聴いた時に紹介されていたので拾い上げました。確か2週間前かな。

4. kiki vivi lily and Sweet William. New Day. 2021.

これはJ-WAVEの宣伝欄で流れていたいい感じのメロウなJソウルだったので紹介です。kiki vivi lily (旧名「ゆり花」)は、2010年代中盤ごろから、アコースティック路線からソウル&シティポップ路線に転向していたそうです。[4]https://clubberia.com/ja/interviews/775-kiki-vivi-lily/

作曲はSweet William です。タワレコのミュージシャン紹介[5]https://tower.jp/artist/2543443/Sweet-Williamによれば、愛知県豊橋市出身のビートメイカーで1990年生まれ。クリエイター集団“Pitch Odd Mansion”に所属で、2010年代中盤からコラボレーション楽曲も多数生み出してきたそうです。

この kiki vivi lily のソウル・ヒップホップ路線の楽曲群は、ぷにぷに電機やNight Tempoなどの2010s後半以降のフューチャーファンク路線のメロウな部分と共振しているようにも聴こえ、とてもよいですね。名前を覚えました。

5. CAN. Hallekuhyah. [1971] 2013.

主に1970sに活躍していたドイツのロックバンドから1曲(18分)です。先週あたりからテリーライスさんの影響で「プログレロックの中のミクスチュア・ファンク部分」についても、耳が信じる範囲で少しずつ拾わせてもらってるのですが、いかんせん長い!

長いのはまあいいんですが、途中でちょっとずつBPMも変わってるよねこれ!? いくら反復音楽といっても、一定のビートを維持してもらわないとファンクとは少し違って聴こえる気がするな〜、でも局所局所は確かにファンク音楽と通じ合うところが多いですよね、と思いました。

6. The Three Degrees. Woman in Love. [1978] 2009.

最後は女性3名によるソウル・コーラス・グループ、ザ・スリー・ディグリーズから。最も有名な曲は「天使のささやき」みたいですね。今回の選曲はあまり代表曲を気にせず、直感で選びました。メンバー自体は頻繁に入れ替わっていたそうですが、3名編制なのは変わらなかったとか。

今回撰んだのは、スガシカオさんのラジオに出演した島谷ひとみさんの話に出てきたのが印象深かったためです。彼女が駆け出しの頃の話に、お世話になったボイストレーナーさんが出してくる課題曲が The Three Degrees だったという……トレーナーさんは相当なソウルマニアだった?

今週はこの6曲でお送りしました。月曜にURLを出して金曜に紹介は一番遅かったかもしれないですね。しかも先週のLachy Doley 特集がまだ何も手つかず! 週末にやります。ではまた来週〜。

脚注一覧

脚注一覧
1エスむら. 2019-08-22. Shaka Laka BOOM!. SOMETHING IN THE WATER PRINCE BLOG.
http://somethinginthewater.blog.fc2.com/blog-entry-3143.html (2021-10-17 accessed).
2柳樂光隆. 2021-07-07. エマ・ジーン・サックレイ、UKジャズの個性派が語る「変人たち」に魅了された半生. RollingStone. https://rollingstonejapan.com/articles/detail/36150/1/1/1 (2021-10-17 accessed).
3InterFM. 『バラカンビート』公式Webサイト. https://www.interfm.co.jp/barakanbeat/
4https://clubberia.com/ja/interviews/775-kiki-vivi-lily/
5https://tower.jp/artist/2543443/Sweet-William