#FalettinSouls s2eX06 特集: ブルース・ブラザーズと1970s末の“保守”ソウル・シーン

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  1. The Blues Brothers. [live] Opening: I Can’t Turn You Loose. (orig: Otis Redding, 1967) 1978.
  2. The Blues Brothers. [cover] Peter Gunn Theme. (orig: Henry Mancini, 1958) 1980.
  3. The Blues Brothers. [live][cover] Green Onions. (orig: Booker T. & The MG’s, 1962) 1980.
  4. The Blues Brothers and Aretha Franklin. [self cover] Think. (direct orig: Aretha Franklin, 1968) 1980.
  5. The Blues Brothers. [live][cover][medley] Do You Love Me?: Mother Popcorn. 1980.
  6. The Blues Brothers. [live][cover] Groove Me. (orig: King Floyd, 1971) 1978.
  7. The Blues Brothers. [live][cover] Jailhouse Rock. (orig: Elvis Presley, 1957) 1978.

おはようございます。大規模接種センターが全国で稼働し始めて、安堵の空気がTL[1]TwitterのTimelineのこと。にも徐々に出始めてきましたね。自分も身近に「接種2回目終わりました」という人がちらほら増えてきて、ほっとしています。さて #FalettinSouls 今週金曜回は「ブルース・ブラザーズ」です。

今日はなんだか疲れてるので、タイトル書き起こしは後で……ブルース・ブラザーズのテーマソングしてるけど実はカバー曲、な1曲目をヘッダにして1+6曲です。というか彼らの演奏する曲はだいたいカバーかゲスト本人の持ち曲だったりするんですが。

「ブルースブラザーズはこういう音源(主にカバー曲)を出した人たちなんですよ、というまとめになってます。#FalettinSouls はファンクとソウルを扱いますが、今回は先週のアレサ・フランクリンに引き続きソウル寄り、そしてブルースロック寄りの特集ですね。ファンクもちょっとだけある。

(コメントに応えて)「Spotifyの-ブルースブラザーズ名義の音源で-権利関係クリアして配信されているもの」にジョン・リー・フッカーが入ってなかったっていうね……(ブルースブラザーズに出た曲特集にするとそれは月曜にやれってことになっちゃうしな)(まあいつかやろう)

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はい、#FalettinSouls ですよ。最近は毎週金曜日に開催し続けられてえらいね〜(自分で言う?)。今晩はブルースブラザーズ特集です。1980年のコメディ映画のあいつらですよ!

プレイリストこちら。1+6曲です。

1. The Blues Brothers. [Live] Opening: I Can’t Turn You Loose. (orig: Otis Redding, 1967) 1978.

極めて短い一曲、ブルース・ブラザーズのシグネチャとして使われることの多い曲ですね。ところでこの曲がカバー曲ってご存知でした? 1967年に亡くなるまで、ソウル音楽史に多大な影響を残したOtis Redding の曲なんです。

オーティス・レディングといえば、思わぬ遺作となった The Dock of the Bay に、先週の特集で触れたアレサ・フランクリンの大ヒットカバー曲”Respect”の原曲者でもあります。この2人の関係はそれだけじゃない。アレサをヒット歌手に導いたメンフィスのスタジオ「スタックス」に2人とも出入りしていた。

スタックス・レコードおよびそのスタジオのバンドは、1960s-1970sのいわゆる「サザンソウル」とのちに呼ばれる一大ジャンルのゆりかごのように大いなる貢献を果たしました。その中に居た実力派バンドに、Booker T. & The MG’s がいたんですね。彼らはオーティスの演奏も務めました。

さて、なんでこんな話をしてるかって? 1980s前後に人気を博したブルース・ブラザーズ・バンドおよび、彼らに当て書きされたコメディ映画『ブルース・ブラザーズ』の主要人物にそのBooker T. & The MG’s が何名も参加してるからですよっ!

ブルース・ブラザーズの象徴であるノッポとフトッチョ(※人気だった時代背景を鑑み、政治的に正しくない言い回しを採用しております)は、それぞれノッポがDan Aykroyd(映画内では弟分エルウッド役)、フトッチョがJohn Belushi(兄貴分ジェイク役)で2人ひと組です。

2人のコメディアンは、1975年から始まる米国NBCの長寿番組 Saturday Night Live の初期に、お笑い枠だけでなく音楽バンド枠でも優れたパフォーマンスを見せました。その人気が、後のマリオとルイージであったり、『MOTHER 2』のトンズラブラザーズなどのオマージュ元になるわけですが……

そのブルース・ブラザーズ・バンドが大所帯となり形を成して行くにあたり、ブッカーT&TheMG’s経由で、1960sサザンソウルの文脈が、入っていったんですね。なんてったって彼ら実際にオーティスとアレサの後ろで演奏してたんですから。

2. The Blues Brothers. [cover] Peter Gunn Theme. (orig: Henry Mancini, 1958) 1980.

これは映画『ブルース・ブラザーズ』内では兄弟の登場シーンで使われていましたね(違ったらすみません、帰って見直せばわかることだが……)。さてこのピーター・ガンって誰? と思いますよね。これは1950s末にドラマ化した私立探偵の主人公の名前です

テレビドラマどころかテレビという媒体それ自体が、(今の私たちの時代からみれば)新興メディアジャンルだったわけですが、このピーター・ガンの音楽は重厚なビッグバンド・ジャズをサウンドトラックとして採用した黎明期の事例としてアメリカ市民の心に残っていたとか【要・更なる出典】。

ブルース・ブラザーズはよくこういう選曲をします。この選曲の文脈は、彼らの時代(1978-1980のあたり)に鳴っていた音楽を考えると、明確です。何が流行っていましたか? そう……ディスコ。それにテクノやヒップホップも産声を挙げ始めていた。

ビートルズ以降のロックの音もあまりしませんね。黒人音楽を真似する中で始まったブルース・ロックの音はします。ブルース・ブラザーズは、ジャズ、ブルース、ソウル、ファンク(映画ではゴスペルもある)など、ブラックミュージック寄りの選曲が多いですが、さらに「1970s前半までの」がつくんです。

ここまで確認したら、根拠ありの状態で言ったと受け入れてもらえるでしょう。『ブルースブラザーズ』は、今見ると20c中盤北米の“懐メロ”リバイバルバンドとして聴けます。が、1978年においてさえ、すでに「ディスコブームに対するカウンターとしてのR&B保守リバイバルバンド」だったと言えるんですね。

そんなにディスコが目の敵になるのナンデ? ディスコリバイバルのDaft Punkとかいいじゃん? と思われるでしょうが、それは音楽評論本一冊ほどの営為が必要になりますので今はスルーします……。

3. The Blues Brothers. [live][cover] Green Onions. (orig: Booker T. & The MG’s, 1962) 1980.

これは原曲が1962年のBooker T. & The MG’s です。かっこいいですねー。でもブルースブラザーズの座組でやるとブルースロック的なニュアンスも加わりますよね。

Booker T. の細かいメンバーの話はブログ版に順延〜【※2021-06-21執筆中……】。あるいは各自で調べてね。

4. The Blues Brothers and Aretha Franklin. [self cover] Think. (direct orig: Aretha Franklin, 1968) 1980.

4曲目は、映画『ブルース・ブラザーズ』にもダイニングレストランの女将役で出演したアレサ・フランクリンの代表曲セルフカバーから。これ、映画本編で流れているアレンジと基本的には同一軸ですが、たぶん完全にイコールな音源ではないね?

シーンとしては、「出獄してきた倫理観崩壊中の兄と、警察を撒くために平気で自動車事故を起こす道徳心破綻中の弟がジェイムズブラウン牧師の天啓を受けてバンドやろうぜと思い立ち、旧友の夫が連れ去られそうになってるので妻兼自営業者として夫にマジギレする、というものです。完全に女将が正しい!

胸元をキチンの油で汚しながら懸命に働く妻をほっぽって夫はよくわからんスーツ兄弟に誘拐されてバンド三昧するとかマジで!? というシーンで、女性の権利についての讃歌としても名高いアレサの曲が凄く……大地に根を張った憤怒の曲としても……刺さりますので、ぜひ映画で文脈をお確かめください。

5. The Blues Brothers. [cover][medley] Do You Love Me?: Mother Popcorn. 1980.

これはThe Contours によるDo You Love Me? (1962) の途中に、なぜかJames Brownのファンク曲 Mother Popcorn (1969) が挟まるという、なんでこうなったの? と思っちゃうナンバー。あまりにややこしいので曲にorig. 表記入れなかったよ。

この変なトラックの塩梅が、しかしいかにも自分が記憶しているブルース・ブラザーズらしさでもある。ファンクやソウルに徹してはいない。70sUKロックの方にもいかない。でも70s冒頭までの米国R&B文脈ならなんでもアラカルトで盛る。演ってみせたらとても巧みに演奏しきってしまう。そういう塩梅ね。

6. The Blues Brothers. [live][cover] Groove Me. (orig: King Floyd, 1971) 1978.

6曲目。King Floyd による1971年のソウルナンバーをカバーしてます。しかし原曲はもっとタポタポとしたのんびり晴れやかな曲なんですが、ブルース・ブラザーズのアレンジは少しニューソウル寄りのバンド演奏になってますね。ハモンドオルガンの色気が大きいかな。

7. The Blues Brothers. [cover] Jailhouse Rock. (orig: Elvis Presley, 1957) 1978.

言わずと知れた Elvis Presley の1957年原曲のカヴァーであり、エルヴィスの主演映画『監獄ロック』の主題歌でもあり、そして……映画『ブルースブラザーズ』をご覧になった方ならわかりますよね? そう、あのシーンで歌われることになる曲です。

この曲を聴いていると、数ヶ月前に日本のロックバンド THE BOWDIES を聴いていた時に使った脳が活性化するんですよね。まだUKからビートルズの流儀が伝播して、ロックの定義が一段地層を積み上げる前の、1950-60sの、”Rock’n Roll rooted by Blues” (ブルースに根を張るロック)の音がする。

どうしてブルースからロックは生まれたのか? ジャズ/ブルース/ゴスペルの要素は、どのようにロック/ソウル/ファンクに継承され展開/転回していったのか? このあたりを考えるのはいつだって面白いのですが……

ブルースブラザーズが取捨選択した歌の数々は、このR&B史における大きめの問題を大きく掴んでると思います。それは彼らのカバー曲の数々もそうだし、そのクライマックスとしての映画作品もそうです。

残念ながら“ふとっちょ兄貴”のジョン・ベルーシは、35周年なお生き生きしている任天堂のマリオと違って1982年に薬物中毒で頓死してしまっているのですが……残る弟役のダン・エイクロイドは『ブルースブラザーズ2000』にも主演で出ています。

「当時のディスコブームに対する米国内からの保守反動」と片付けるにはあまりにも惜しいブルース・ブラザーズ・バンドの選んだ名曲の数々は、星座の配置のように、米国音楽史をみるための特殊な地図のようにもなっています。いまブルースブラザーズを聴く楽しみには、そういう面もあるでしょうね。

ちなみに今回は、R&Bリバイバルバンドとしての扱いであること、そしてTwitterの公開の場で発言することなどにより、映画のネタバレには踏み込みませんでした。一応Filmarksにメモとして所感は書いておきましたので、貼っておきます。

映画『Blues Brothers』(1980)レビュー(Filmarks)
https://filmarks.com/movies/38327/reviews/74590071

今日はこれでおしまいです。……あれっ? s2e09の仕込みが終わってねえ……。月曜の朝までに用意しておきます……。

【いつもの前提解説】#FalettinSouls Season2 は、Twitter上で日本時間の週始め(月曜その他)と週終わり(金曜その他)の週1-2回のゆるっとしたペースでファンクとソウルの文脈を追跡するエクリチュールラジオ番組です。ブログ版ではプレイリストのアーカイヴのほか、補足と注釈のついた増補版もあるのでどうぞご利用ください。

脚注一覧

脚注一覧
1TwitterのTimelineのこと。

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