1. 大野雄二. Treasure of ALCATRAZ. 2001.
2. SEATBELTS. COSMIC DARE. 2004.
3. B’z. HEY BROTHER. 1990.
4. 小坂忠. ほうろう. 1975.
5. 星野源. Cube. 2021.
6. The Soul Stirrers. Nearer to Thee.
【2021-10-25 朝】
FalettinSouls 最新回、もうリリースしてます。ルパン→ビバップ→B’z→小坂忠→星野源の新曲→ザ・ソウルスターラーズ。良いのかどうかさておき、自分しかやらなさそうな選曲。
【2021-10-25 夕】
FalettinSouls 資料あまり揃ってませんが解説しちゃいます。
1. 大野雄二. Treasure of ALCATRAZ. 2001.
『ルパン三世』シリーズのほぼ全てでサウンドトラックを手がける作曲家である大野雄二さんの音源がサブスク解禁しています。それで色々聴いていたのですが、ジャズ色が強いのが多く、ファンク文脈でたくさん紹介するのは筋違いかなと思い、この一曲を。
大野雄二さんはルパンだけではなく『犬神家の一族』『人間の証明』ほか多数のドラマや映画の劇伴も務めておられ、戦後日本の商業音楽において重要な方ですね。伊福部昭の「ゴジラのテーマ」を知らない人の方が少ないように、ルパン三世のテーマも人々に知れ渡ってますもんね。
2. SEATBELTS. COSMIC DARE. 2004.
ルパンからの連想で『カウボーイビバップ』のシートベルツ(作曲: 菅野よう子)から一曲。『カウボーイビバップ』、Netflixで実写化しましたね。私はまだ見てませんが、幼少期の青春のアニメだったので、感慨深いです。菅野さんは「てつ100%」として紹介済ですね。
3. B’z. HEY BROTHER. 1990.
TOMCさんのB’z音源特集で見つけた気がする。B’zはハードロック、という自分の偏見を打ちこわしてくれたトラックです。エレキギターの主張は強いですが、リズムの作り方はB’zの普段の楽曲よりR&B寄りですね。B’zは不定期にこうしたリズムアプローチでの曲も出してるみたい。
歌詞は……1990年、バブル崩壊前夜の景気の良いホモソーシャルってかんじですね。「嵐のようにフラれたこと」ってフレーズが、「どんなフラれ方だよ!?」と突っ込みたくなりますね。「長期の独り身は身体に毒だぜ」も、じ、時代〜。令和まで来るとこの2人のBLとして再解釈されそうな勢いさえある。
4. 小坂忠. ほうろう. 1975.
今朝までは同氏の「気まぐれパーティ」というインスト曲を選択していたんですが、小坂忠を日本ソウル(&ファンク)史の文脈で評価する際によく参照される曲がこの「ほうろう」であることを重視して、急遽差し替えました。
タワーレコードオンラインの2019年の紹介文では、
一家に一枚、ジャパニーズR&Bの金字塔。ティン・パン・アレイ(細野晴臣、鈴木茂、林立夫)が全面バックアップ…山下達郎、吉田美奈子、大貫妙子によるコーラス陣
などと書かれています。このメンツほぼ全員この #FalettinSouls で紹介してますよね〜。
小坂忠さんはある時期からキリスト教の洗礼を受け、ゴスペルシンガーとしても活躍されています。ソウルの源流を遡るような音楽人生だ。キャリアが長いだけあって、小坂さんのトラックだけで何時間でも特集できてしまいます。クラシックソウル好きはぜひ小坂さんの楽曲群を追ってみてください。
5. 星野源. Cube. 2021.
星野源がいかにモータウンやネオソウルを2010sから系統的に再解釈し、今や推しも押されぬ日本R&Bの旗手となったかについては、過去の #FalettinSouls で解説しました。> 「特集:星野源はいかにしてネオソウルをわがものとしたか?」
今回の「Cube」は、同名の名作映画の日本リメイク版の『Cube 一度入ったら、最後』の主題歌としてタイアップされたものです。「カナダの映画」と歌の中にあるのはオリジナル版の『Cube』のことですね。
Cubeの特徴については、2021-10-21 高橋芳朗による星野源インタビュー”星野源「Cube」を語り尽くす 絶望や怒りと向き合いできた新たな居場所 ” [1]高橋芳朗[文・取材]. 2021-10-21. 星野源「Cube」を語り尽くす 絶望や怒りと向き合いできた新たな居場所. Real Sound. https://realsound.jp/2021/10/post-885777.html … Continue reading が詳しいので、そちらをご覧ください。
星野:そうですね、今回も鍵盤とDAWを使って作ったので。まずビートからできたんですけど、最初に思ったのは「かなり狂騒的なビートができたな」と。でも、楽曲のイメージとしては生音だったんですよ。電子音ではなく、実際のドラムを叩いている音。それで最初は人間が叩けるレベルのドラミングに直そうと思ったんですけど、なんかそれではおもしろくないと思って。人間に叩けないことをやるからこそおもしろいんじゃないかって思い始めて。それでも生音の楽曲にはしたかったから、じゃあ、生ドラムに聞こえるように打ち込みつつ、しかもそのドラマーは千手観音みたいに、腕が6本あって足が4本ある人の設定にしようと。その設定で作っていった感じです(笑)。〔中略〕で、オルガン奏者も手が4本ぐらいあるイメージですね(笑)。ドラミングの音がまずできたとき、1960年代後半から1970年代前半ぐらいのソウルバンド、もしくは田舎の教会のゴスペルの歌に合わせて演奏しているバンドがイメージとしてあって。ドラムとベースとオルガン、あとエレキギターがいるぐらいのミニマムな編成のバンドがプログレッシヴな演奏をかなり狂気的にやるっていう。そのイメージと僕が映画の世界観から受け取った憤りや怒りが一致していった感じですね。よし、これでいこうって。
(高橋 2021)
ハモンドオルガンの音を「手が4本あるように」打ち込みまくったという話の通り、手数が異常に多いやけっぱちな楽曲になってますよね。星野源流のモータウンコアの次のフェイズを(「創造」に引き続いて)聴かせてもらった気分ですが……これ、ライヴはどうすんだろ? 鍵盤弾き2人用意するの? オルガン2台にドラム3台で完全再現するライヴ版「Cube」、生で聴いてみたいですね〜。
6. The Soul Stirrers. Nearer to Thee. [1951-1955?] 1993.
サム・クックが個人名義として突出して行く前に所属していたのが1950年代のザ・ソウルスターラーズです。アルバム『Jesus Gave Me Water』に収録されています。[2]https://tower.jp/item/329464/Jesus-Gave-Me-Water
星野源の新曲の説明に「田舎の教会でゴスペルやってるみたいな」とあったので、クラシックな(ゴスペル文脈をそのまま商業にもってきたような)ソウルを直後に置いたのでした。流れとして面白く聴けると思います。後半の盛り上がりはゴスペル独特ですよね。
今週は以上です。ブログ版ではもう少し情報足すかも。
脚注一覧
↑1 | 高橋芳朗[文・取材]. 2021-10-21. 星野源「Cube」を語り尽くす 絶望や怒りと向き合いできた新たな居場所. Real Sound. https://realsound.jp/2021/10/post-885777.html (2021-11-15 accessed). |
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↑2 | https://tower.jp/item/329464/Jesus-Gave-Me-Water |