#FalettinSouls s2e23

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1. Hiatus Kaiyote and Arthur Verocai. Get Sun. 2021.
2. GLAY. 氷の翼. 2019.
3. Egypt 80 and Seun Kuti. Kalakuta Boy. 2014.
4. Gonzalez. No Way. 2007.
5. Tim Wood and Socialized Funk Beats. A Taste of Honey: Lack of Afro Remix – 7″. 2007.
6. Common and PJ. What Do You Say (Move It Baby). 2021.

【2021-10-12月 朝】

よしなんとか月曜日朝にできた。#FalettinSouls s2e23配信です。ハイエイタス・カイヨーテとGLAYが隣り合ってる。今週はファンクな楽曲というより「ファンク好きはこれをこう聴く」みたいな並びになりました。

【2021-10-13火 夕】

そいじゃあやります、#FalettinSouls s2e23 の解説を。

1. Hiatus Kaiyote and Arthur Verocai. Get Sun. 2021.

1曲目は3枚アルバムを出して、どれもソウルファンのみならず各種現代音楽のファンから熱い注目を浴びてきた多元ジャンルのフューチャーソウルバンド、ハイエイタス・カイヨーテの新作から一曲です。

ハイエイタス・カイヨーテは2011年にオーストラリアのメルボルンで結成。

Nai Palm (Naomi Saalfield) / ナオミ・“ネイ・パーム”・ザールフェルト(ボーカル、ギター)
Paul Bender / ポール・ベンダー(ベース)
Simon Mavin / サイモン・マーヴィン(キーボード)
Perrin Moss / ペリン・モス(ドラム、パーカッション)

この4名が中心メンバーです。

この曲が収録された今年の新アルバム『Mood Variant』は前作から6年ぶり。(HMV&BOOKS 2021)[1]HMV&BOOKS. 2021-06-29. ハイエイタス・カイヨーテ 6年ぶりの最新アルバム『Mood Variant』をフライング・ロータス主宰 Brainfeeder からリリース. HMV&BOOKS. … Continue reading 同ファンが待望だったと沸いています。私は今年のその沸き立つ流れで初めて知ることができて僥倖でした。それから本番組お馴染み、音楽ライター柳樂光隆さんによるハイエイタス・カイヨーテへのインタビュー記事もおすすめ。(柳樂 2021) [2]柳樂光隆. 2021-07-05. ハイエイタス・カイヨーテの魔法に迫る 音作りのキーパーソンが明かす「進化」の裏側. Rolling Stone. … Continue reading

2. GLAY. 氷の翼. 2019.

2曲目は意外にもGLAYです。北海道函館市出身のビジュアル系バンドも活動もうすぐ30周年に迫ります。これは2年前の25周年記念のアルバム(GLAY公式Webサイト 2019?)[3]GLAY公式Webサイト. 2019? GLAY 15th ALBUM NO DEMOCRACY 2019.10.2 Release. https://www.glay.co.jp/nodemocracy/ (2021-10-17 accessed).に収録された、時々レゲエ調、終盤R&B調、でもコアはブレずにGLAY流スローテンポロック、という不思議な曲です。

こんなに典型的なズンチャッカ・レゲエが混じってきても、GLAYのTERUが歌えばHoweverの香り漂うJロックに仕上がるので、すごいですよね。個人的には最後のサビが終わった後の「せっかくだしR&B風のインストもやっとくか〜」という感じの演奏が美味です。そこを! そこをもっと食わせてよ!

3. Egypt 80 and Seun Kuti. Kalakuta Boy. 2014.

Egypt 80とはアフロビート/アフロファンクの祖フェラ・クティが擁していた多数のアフロビート企画バンドの一つです。そしてセウン・クティはそのフェラ・クティの実子です。子がバンドを継いでアフロビートを鳴らしてる楽曲というわけ。

シェウン・クティは1982年ナイジェリア生まれのヴォーカリスト、サックス奏者。アフロビートを築き上げたナイジェリアのミュージシャン、フェラ・クティの息子。腹違いの兄としてフェミ・クティがいる。2008年、かつて父親が率いたバンド“エジプト80”をバックに従えたアルバム『MANY THINGS』を発表。フェラ・クティゆずりのカリスマ性と、パワフルなアフロ・ファンク・グルーヴを披露し、熱狂的な支持を集めた。2011年にはブライアン・イーノをプロデューサーに迎えた『怒りのアフリカより:RISE』を発表した。

(Tower Records Online 2012)[4]Tower Records Online. [2012-08-30] 2018-01-09. アーティスト詳細 Seun Kuti & Egypt 80 シェウン・クティ&エジプト80. https://tower.jp/artist/509182/Seun-Kuti-&-Egypt-80 … Continue reading

常連リスナーのひげさんがアフロビート大好きなので、このセウン・クティ(シェウン・クティ)の曲にも反応しておられましたね。英米ファンクと、フェラ・クティ流のアフロファンクとの違いを自分はまだ理論的に説明しきれないんですが、少なくとも同じまな板の上で美味しく戴けるようにはなりました。

4. Gonzalez. No Way. 2007.

今回の調査困難枠です。ゴンザレスは1970-80sのイギリスで自然発生的にかつ流動的に10-30名の大所帯が犇いていたファンクバンドです。80s末には自然消滅していたようなのですが、90s以降にもアルバムのリイシューが続き、Spotify版が参照している盤は2007年らしい。

今日まで調べても内実が詳らかにならなかったので困っていたんですが、10年以上前のAmazonレビュー[5]Amazon.co.jp(商品ページ). Gonzalez/Our Only Weapon Is. https://www.amazon.co.jp/dp/B00000B95A/ (2021-10-17 accessed).に彼らのことを詳しく書いている人がいました。あくまで口コミ情報であり確定のものではありませんが、紹介しておきます。この言を信じるとNo Way の初出は1974-5 あたりか? 彼らの背景について詳しそうな二次情報として、レビューを引用しておきます。

ロンドン在住の中南米系を中心に結成されたFUNK-LATIN-REGGAEバンドであるゴンザレズのメンバーは流動的で10~30人にもなったという。ゴンザレズというユニットの名の許にセッションミュージシャンたちが出入りしていたのであろう。そんな流動メンバーにも Hamming Bird のメンバーやら、後に Alan Parsons Project や Incognito, Sade のバックバンドなどで活躍する人たちもいた。

74年の1stと75年の2ndの2in1であるこのリイシューは彼らの魅力を伝えるのに充分だ。ドロドロと黒いFUNKソングと割合スムースなフュージョン/JAZZFUNKチューンが交差する1st、それよりはかなりPOP、というかフリーソウルっぽい雰囲気を持つチューンとラテンJAZZ中心の2nd。どちらもとても興味深い。音だけを聴いているかぎりUKのパブ/クラブシーンのバンドであることを忘れてしまう。

(gojoh 2005)[6]gojoh. 2005-01-16. [Review] Gonzalez/Our Only Weapon Is. Amazon.co.jp. https://www.amazon.co.jp/gp/customer-reviews/R3156IAH6VG35B (2021-10-17 accessed).

彼らはイギリスのクラブで70年半ば頃に自然発生的に立ち上がったグループでメンバーは不特定、十数人のメンバーが入れ替わりだったようでアルバムにも全てのメンバーが記載されていません。しかし後に The Alan Parsons Project, Pilot で活躍する Lenny Zakatek, ファンク.ロック.グループ Hummingbird で3枚目からギタリストとして加入した Robert Ahwai, Hummingbird, Jeff Beck Groupの主要メンバー Max Middleton, 同じくHummingbird, Jeff Beck Group でソウルフルな渋いボーカル、ギターを聴かせてくれた Bobby Tench、またアシッド・ジャズ的なクロスオーバーサウンドが凄い Brand X のベーシスト John Giblin, Incognitoで活躍するドラマー Richard Bailey など凄いメンバーを輩出しています。そんな彼らのファースト”Gonzalez” とセカンド” Our Only Weapon Is Our Music” のカップリングです。

ファンク系のバンドといっても暑苦しさはなく、ラテン系のクールでアーバンなイメージ。セカンドのジャケットの「なまず犬」が彼らのトレードマークだったようでどのアルバムにも載っていて面白いです。

弾むようなファンキーチューンに留まらず、アーバンなインストやAOR色豊かな曲も入っていてとにかくバリエイションに富んだサウンドが素晴らしく、個人的にはもっと多くのアルバムを聴きたかったお気に入りのグループです。

私は98年に突然リリースされた “Haven’t Stopped” も持っていますが、これは今まで発売されアルバム未収録だった12インチシングルや未発表曲を集めてアルバム化したもののようです。セカンドアルバムから2曲、サードアルバムから彼らの最大のヒット曲「Haven’t Stopped Dancing Yet」、その他未発表曲が収録されています。これだけではなく個人的には4枚目、5枚目もCD化してもらえればと思いますね。ファンクのみならずソウル、AORファンであれば一味違うサウンドで虜になること間違いなしです。

(hiro 2017) [7]hiro. 2017-12-29. [Review] バリエイションに富んだサウンドが最高です. Amazon.co.jp. https://www.amazon.co.jp/gp/customer-reviews/R1WTKCG6PXVA7T (2021-10-17 accessed).

5. Tim Wood and Socialized Funk Beats. A Taste of Honey: Lack of Afro Remix – 7″. 2007.

これをレアグルーヴと呼ぶのね〜、的な一点もののインストゥルメンタル・ファンクです。

この曲はオランダ出身の作曲家ティム・ウッドによるものらしいですが、アルバム『Play Bird』収録の同名曲より断然こっちの7インチ盤がよいですね! Season2の多様なファンクの中で純粋に数曲絞って選び直せと言われたら、真っ先にこのトラックを挙げたい。それくらい素晴らしい音源でした。円盤としては、2007年にリリースされた Socialized Funk Beats の1曲として入っているようです。[8][Compliation Album] ソーシャライズド・ファンク・ビーツ. ピーヴァインレコード. 2007. https://diskunion.net/black/ct/detail/54C070419004 (2021-10-17 accessed).

オムニバスの方でない『Play Bird』を紹介する音源出版元の公式YouTubeではティム・ウッド自身の来歴について解説がありました。翻訳して掲載しておきます:

Tim Wood(ティム・ウッド)による音楽アルバム Play Birds (商品番号SOCIALCD07)収録の一曲である A Taste of Honey は、2007年に Social Beats Records (ソーシャル・ビーツ・レコーズ)/ Unique Records (ユニーク・レコーズ)よりリリースされました。ティム・ウッドはオランダ生まれの作曲家・編曲家・ミュージシャンです。ジャズとクラシックのトレーニングを受けており、様々なダンス・シアターの上演に向けたサウンドトラックの作曲者として成功を収めてきました。彼がインスピレーションを受けてきた音源は。Lalo Schifrin や Ennio Morricone など古典的な映画音楽の作曲家や、いつもダンスフロアを沸かせるイノベータ〔的DJ〕、多数のジャズ-ソウルの先駆者たちなど多岐にわたります。〔中略〕ティム・ウッドは……作曲・演奏・プロデュースをすべて自分で行っています。ドラム・ビートル・ベース(beatle-bass)・ファンキーなギター・パーカッション・旧式のフィラコルディア・オルガン(Philacordia organ)[9]Wikipedia_en::Philacordiaまたスタジオに友人を招いてインドのシタール・クラシック・ヴァイオリン・サックス・トランペットなど他の楽器と一緒にジャム・セッションを繰り広げています。ティムにとっては特に1960年代のサウンドがルーツであり、ファンク・60sサイケデリックロック・ボリウッドのヴァイブス・ジャズの即興演奏などに影響を受けています。

(Social Beats Records & Sheephead Records 2018)[10]Social Beats Records & Sheephead Records. 2018-03-02. 01 A Taste Of Honey – Tim Wood Play Birds. YouTube. https://www.youtube.com/watch?v=rBiknD97B08 (2021-10-17 accessed).

6. Common and PJ. What Do You Say (Move It Baby). 2021.

最後はhiphop畑から今年の音源。Lonnie Rashid Lynn, Jr. a.k.a. Common (ロニー・ラシード・リン、又の名をコモン)は、1972年生まれ、米国イリノイ州シカゴ出身のMC・トラックメイカーです。グラミー賞3回受賞経験があり、俳優でもあります。プロデューサがKarriem Riggins ほか多数の作曲家(あるいはリミックス元?)が関わってるみたいですね。ロバート・グラスパーの名前もあるな……

カリーム・リギンズ[11]Karriem Riggins Official Website. https://www.stonesthrow.com/artist/karriemriggins/ (2021-10-17 accessed).は、ヒップホップだけでなく色んなジャンルの音楽家とも関わってる多芸なドラマーみたいですね。今度彼の名義で仕事を追っかけてみます。

デトロイトを拠点に様々な一流アーティストと共演してきたドラマー、そして同時にヒップホップ・プロデューサーという二つの顔を持つ唯一無二の存在: カリーム・リギンス。過去にハービー・ハンコック、ドナルド・バード、オスカー・ピーターソン等、数多くの伝説的アーティスト達とライブやレコーディングで関わり、 現在はポール・マッカートニーやダイアナ・クラールのライブバンドメンバーである。2012年にはグラミー賞授賞式でもポール・マッカートニーのバックバンドとしても出演を果たした。一方、コモンやエリカ・バドゥ、スラムヴィレッジ、ルーツ、ドウェレ等数多くのヒップホップやR&Bアーティスト達のプロデュースも手掛けている。 同郷の故J・ディラと長く制作を共にしてきた唯一のパートナーでもあり、数多くのデトロイト産のヒップホップ・クラシックスも生んできた。また、マッドリブともユニット・プロジェクト: シュプリーム・チームを組み、ジャズプロジェクト: YNQのアルバムなどでも共作している。

(Clubberia n.d.) [12]Clubberia.com. Karriem Riggins 紹介. https://clubberia.com/ja/artists/4634-KARRIEM-RIGGINS/ (2021-10-17 accessed).

今日はディスコグラフィー的な情報が多めでしたが、まあそんな日もあるでしょう。あとは今週中にになんとしても Lachy Doley特集「の解説」を投下しないと……。[13]この時点で Lachy Doley の #FalettinSouls s2eX09 を解説していないということ。

脚注一覧

脚注一覧
1HMV&BOOKS. 2021-06-29. ハイエイタス・カイヨーテ 6年ぶりの最新アルバム『Mood Variant』をフライング・ロータス主宰 Brainfeeder からリリース. HMV&BOOKS. https://www.hmv.co.jp/news/article/2103251052/ (2021-10-17 accessed).
2柳樂光隆. 2021-07-05. ハイエイタス・カイヨーテの魔法に迫る 音作りのキーパーソンが明かす「進化」の裏側. Rolling Stone. https://rollingstonejapan.com/articles/detail/36136 (2021-10-17 accessed).
3GLAY公式Webサイト. 2019? GLAY 15th ALBUM NO DEMOCRACY 2019.10.2 Release. https://www.glay.co.jp/nodemocracy/ (2021-10-17 accessed).
4Tower Records Online. [2012-08-30] 2018-01-09. アーティスト詳細 Seun Kuti & Egypt 80 シェウン・クティ&エジプト80. https://tower.jp/artist/509182/Seun-Kuti-&-Egypt-80 (2021-10-17 accessed).
5Amazon.co.jp(商品ページ). Gonzalez/Our Only Weapon Is. https://www.amazon.co.jp/dp/B00000B95A/ (2021-10-17 accessed).
6gojoh. 2005-01-16. [Review] Gonzalez/Our Only Weapon Is. Amazon.co.jp. https://www.amazon.co.jp/gp/customer-reviews/R3156IAH6VG35B (2021-10-17 accessed).
7hiro. 2017-12-29. [Review] バリエイションに富んだサウンドが最高です. Amazon.co.jp. https://www.amazon.co.jp/gp/customer-reviews/R1WTKCG6PXVA7T (2021-10-17 accessed).
8[Compliation Album] ソーシャライズド・ファンク・ビーツ. ピーヴァインレコード. 2007. https://diskunion.net/black/ct/detail/54C070419004 (2021-10-17 accessed).
9Wikipedia_en::Philacordia
10Social Beats Records & Sheephead Records. 2018-03-02. 01 A Taste Of Honey – Tim Wood Play Birds. YouTube. https://www.youtube.com/watch?v=rBiknD97B08 (2021-10-17 accessed).
11Karriem Riggins Official Website. https://www.stonesthrow.com/artist/karriemriggins/ (2021-10-17 accessed).
12Clubberia.com. Karriem Riggins 紹介. https://clubberia.com/ja/artists/4634-KARRIEM-RIGGINS/ (2021-10-17 accessed).
13この時点で Lachy Doley の #FalettinSouls s2eX09 を解説していないということ。

#FalettinSouls s2e22

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1. 岡村靖幸. ぶーしゃかLOOP. [2011] 2016.
2. Emma-Jean Thackray. Green Funk. 2021.
3. Maceo Parker. Chicken. 1991.
4. kiki vivi lily and Sweet William. New Day. 2021.
5. CAN. Hallekuhyah. [1971] 2013.
6. The Three Degrees. Woman in Love. [1978] 2009.

【2021-10-02月 朝】

おはようございます。一年で一番過ごしやすい季節が来ましたね(※秋花粉のひと除く、念のため)。今週の #FalettinSouls をお送りします。s2e22 (Season2, Episode 22) です。

岡村靖幸とMaceo Parker は既出、Emma-Jeanも2回目、他が初紹介です。

【2021-10-08金 夕方】

FalettinSouls の宿題が溜まってるので喫茶店詰めになって仕上げます。s2e22から。

1. 岡村靖幸. ぶーしゃかLOOP. [2011] 2016.

邦楽ファンクを沢山紹介する #FalettinSouls ではスガシカオと並んで常連の岡村靖幸です。新しいメンツを紹介したほうがいいのに敢えてこの曲にしたのは個人的な理由があります。

この曲の初出は、3度の覚醒剤使用により実刑判決から戻ってきたあとの最初の新曲トラックとして出たこの2011年のYouTube動画です。

この10年前の(……10年前の!?)動画から10年間、過去のノリを保持しながら、家庭を持つ父親としての側面もパフォーマンスの中に覗かせる新生岡村靖幸としていろんな曲を繰り出してきたのですよね。

で、こないだの10月01日に緊急事態宣言が終わりましたよね。その日は金曜で、サイゼリヤがだいぶ暫くぶりにワインを解禁してくれたんですね。で、デキャンタL(500ml)を2杯飲んでしまった。

サイゼリヤで肩肘張らずにワイン(と飯)がいただけることですっかりアッパー側に酔ってしまった自分はだいぶ酩酊したのですが、その時に自分の大脳新皮質の下の方から訴えかけてきたファンクがこの「ぶーしゃかLOOP」の“ぶー!” の部分だった。

たぶん23歳 うーっ
たぶん、たぶん、たぶん23歳 うーっ
ちきっ ぶんぶーん
うっ べいべ べいべ べいべ あーっ
ぼんちゅがっすどどっ ぱっ ヘイ ダッ
〔中略〕
ぶー ぶーしゃからか ぶー
アイセイ ぶー ぶーしゃからか ぶー
ぶー ぶーしゃからか ぶー
それ126ってフリーランスのノン
ぺんぺんぺんぺんぺんぺんぺん草

岡村靖幸. ぶーしゃかLOOP. [2011] 2016.

あたりのノリが、完全に酒が入った時の気分と一致して、岡村靖幸の本能(というか理性を剥がした時)に訴求する力を10年越しぶりに喰らったような思いがしました。

ところで、この「ぶーしゃかLOOP」は、2011年初公開から5年かけて、アルバム『幸福』に別アレンジで収録されました。今回紹介しているのもそのバージョンです。そしてこのバージョン、リズムマシンの刻む音に乗せて“少年のヴォーカル”がファンキーに乗ってるんですよね。

『幸福』のアルバムジャケットでは、おそらく父であろうPOVが風呂場の浴槽の中に沈んでおり、その股の間で子供が剥いた蜜柑を差し出しているという、図像的な意味に溢れた構図になっています。エロティックな表現を得意とした岡村靖幸が「親子」「家族」という表現を得たのだなあ、と思ったものです。

【2021-10-17追記】

「ぶーしゃか」「ぶーしゃからか」の出自については、Sly & The Family Stone およびそれをよくコピーしていたPrince からではないか、という考察をしている記事がありました。

ブラックミュージックの伝統的スキャット「Boom Shaka laka」(これはスライの「I Want to Take You Higher」の中の合いの手でBoom shaka lakalaka Boom Shaka lakalaka と唱えたのがはじまり)プリンスの曲1987年作「Housequake」でのshaka laka boomがプリンス的には最初の使用となるが後の1999年作の「Y Should Eye Do That When Eye Can Do This?」でもBoom Shaka laka boomと唱えるものもあり〔中略〕もしくはプリンスのライブ音源(スライのI Want to Take You Higherをよくカバーしてる)などというところから岡村靖幸さんがここ最近出した曲に「ぶーしゃか」を取り入れ〔後略〕

(エスむら 2019)[1]エスむら. 2019-08-22. Shaka Laka BOOM!. SOMETHING IN THE WATER PRINCE BLOG.
http://somethinginthewater.blog.fc2.com/blog-entry-3143.html (2021-10-17 accessed).

確かに言われてみれば I Want Take You Higher の “Boom Shakalakalaka Boom Shakalakalaka” ですね。

2. Emma-Jean Thackray. Green Funk. 2021.

エマ=ジーン・サックレイは、現在注目のUKジャズミュージシャンです。連名では紹介済ですがデビューアルバムがついに出たのでもう一度紹介しています。

「70年代のジャズ・フュージョンとPファンクを結ぶ、あるいはサン・ラやアリス・コルトレーンのような広大無辺な祈りの音楽と、ビーチ・ボーイズの『Pet Sounds』のような華麗なオーケストラアレンジを結ぶ、鮮やかな線を描いていくデビューアルバム」うーんすごい形容。

いつもながら、UKジャズの情報は音楽ライターの柳樂光隆さん経由で得ています。柳樂さんがサックレイにインタビューした記事はこちら。[2]柳樂光隆. 2021-07-07. エマ・ジーン・サックレイ、UKジャズの個性派が語る「変人たち」に魅了された半生. RollingStone. … Continue reading
「父から道教の教えを授かった」や「メンバーは私の思い通りに動いているのに自分たちを自由だと思っている」とか、凄いキャラです。

Green Funk は比較的短い曲で、ほかのもっと長い曲もかっこいいのが多いので『Yellow』1枚ごと推しではあるのですが、ファンク枠で明確に聴けるのを1曲だけ選ぶとしたらこれだなと思ったのでこれにしました。CANの18分と並べるべきではなかったですが。

3. Maceo Parker. Chicken. 1991.

メイシオ・パーカーも何度か紹介済です。今回は我ら日本人ソウルファンの心のソウル・ヨーダ、ピーター・バラカンさんのラジオ番組『バラカンビート』[3]InterFM. 『バラカンビート』公式Webサイト. https://www.interfm.co.jp/barakanbeat/ を久しぶりに通しで聴いた時に紹介されていたので拾い上げました。確か2週間前かな。

4. kiki vivi lily and Sweet William. New Day. 2021.

これはJ-WAVEの宣伝欄で流れていたいい感じのメロウなJソウルだったので紹介です。kiki vivi lily (旧名「ゆり花」)は、2010年代中盤ごろから、アコースティック路線からソウル&シティポップ路線に転向していたそうです。[4]https://clubberia.com/ja/interviews/775-kiki-vivi-lily/

作曲はSweet William です。タワレコのミュージシャン紹介[5]https://tower.jp/artist/2543443/Sweet-Williamによれば、愛知県豊橋市出身のビートメイカーで1990年生まれ。クリエイター集団“Pitch Odd Mansion”に所属で、2010年代中盤からコラボレーション楽曲も多数生み出してきたそうです。

この kiki vivi lily のソウル・ヒップホップ路線の楽曲群は、ぷにぷに電機やNight Tempoなどの2010s後半以降のフューチャーファンク路線のメロウな部分と共振しているようにも聴こえ、とてもよいですね。名前を覚えました。

5. CAN. Hallekuhyah. [1971] 2013.

主に1970sに活躍していたドイツのロックバンドから1曲(18分)です。先週あたりからテリーライスさんの影響で「プログレロックの中のミクスチュア・ファンク部分」についても、耳が信じる範囲で少しずつ拾わせてもらってるのですが、いかんせん長い!

長いのはまあいいんですが、途中でちょっとずつBPMも変わってるよねこれ!? いくら反復音楽といっても、一定のビートを維持してもらわないとファンクとは少し違って聴こえる気がするな〜、でも局所局所は確かにファンク音楽と通じ合うところが多いですよね、と思いました。

6. The Three Degrees. Woman in Love. [1978] 2009.

最後は女性3名によるソウル・コーラス・グループ、ザ・スリー・ディグリーズから。最も有名な曲は「天使のささやき」みたいですね。今回の選曲はあまり代表曲を気にせず、直感で選びました。メンバー自体は頻繁に入れ替わっていたそうですが、3名編制なのは変わらなかったとか。

今回撰んだのは、スガシカオさんのラジオに出演した島谷ひとみさんの話に出てきたのが印象深かったためです。彼女が駆け出しの頃の話に、お世話になったボイストレーナーさんが出してくる課題曲が The Three Degrees だったという……トレーナーさんは相当なソウルマニアだった?

今週はこの6曲でお送りしました。月曜にURLを出して金曜に紹介は一番遅かったかもしれないですね。しかも先週のLachy Doley 特集がまだ何も手つかず! 週末にやります。ではまた来週〜。

脚注一覧

脚注一覧
1エスむら. 2019-08-22. Shaka Laka BOOM!. SOMETHING IN THE WATER PRINCE BLOG.
http://somethinginthewater.blog.fc2.com/blog-entry-3143.html (2021-10-17 accessed).
2柳樂光隆. 2021-07-07. エマ・ジーン・サックレイ、UKジャズの個性派が語る「変人たち」に魅了された半生. RollingStone. https://rollingstonejapan.com/articles/detail/36150/1/1/1 (2021-10-17 accessed).
3InterFM. 『バラカンビート』公式Webサイト. https://www.interfm.co.jp/barakanbeat/
4https://clubberia.com/ja/interviews/775-kiki-vivi-lily/
5https://tower.jp/artist/2543443/Sweet-William

#FalettinSouls s2e21

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1. CRO-MAGNON. Life Traveller. 2006.
2. Rivage. I Need Your Love. [1981] 2020.
3. Billy Preston. Outa-Space. 1971.
4. Curtis Mayfield. Future Shock. 1973.
5. Gong. Cat In Clark’s Shoes. 1976.
6. Deniece Williams. That’s What Friends Are For. 1978.

【2021-09-30 夕方】

FalettinSouls s2e21(今週のSpotify6曲)の解説をします。

1. CRO-MAGNON. Life Traveller. 2006.

金子巧(Key.) 大竹重寿(Dr. & Per.) コスガツヨシ(Gt. & Bass) の3人組によるバンド。1990年代からLoop Junktion として活動していたらしいですな、2004年にメンバー構成を変えてCRO-MAGNON に。[1]Twitter版では「改名した」くらいの軽い変動として2つのユニット間の変化を語ってしまっていましたが、@alt38000 さんからLoop Junktion と CRO-MAGNON … Continue reading以降6枚アルバムを出しています。今回紹介したのは改称後2年経ったころの音源ですね。[2]公式プロフィール https://cro-magnon.jp/profile/ 2021-10-04 accessed.

クロマニヨンズとは違うバンドですので、その点はご注意ください。

2. Rivage. I Need Your Love. [1981] 2020.

Twitterタイムラインから掘り当てた1980s初頭のレアグルーヴ情報から辿りました。1977年結成のファンクグループ Mighty Riders のメンバーが関わっているそうです。検索してもLP発売情報しかヒットしません。完全にクラブDJ向けの素材として再評価されてます。[3]https://www.newtone-records.com/artist/RIVAGE , https://diskunion.net/black/ct/detail/1008170384 https://www.jetsetrecords.net/rivage-sittin-on-it/i/513005792599/ 2021-10-04 accessed

3. Billy Preston. Outa-Space. 1971.

「5人目のビートルズ」としてもおなじみ、ビリー・プレストンが1972年にグラミー賞 Best Pop Instrumental Performance部門を獲得した記念すべき一曲。[4]https://www.allmusic.com/artist/billy-preston-mn0000590285/awards 2021-10-04 accessd.売上としても前年に全米でもチャート2位を獲得しています。こんなカッコ良い曲がちゃんと売れてた米国、素晴らしいですね。

4. Curtis Mayfield. Future Shock. 1973.

カーティス・メイフィールドはSeason1から何度も紹介していますが、今回は名盤 Superfly の次に出たアルバム Back to the World からの1曲から。1973年はベトナム戦争終結の年。カーティスによるベトナム戦争批判のアルバムでもあります。

大まかに歌詞の内容を読み取ると、「ベトナム戦争の凄惨な現場から復員してみれば親兄弟は貧困に喘いでおり、そんな(黒人の)我らに向けてヤクの売人が買え(或いは売れ)と手招きしている……」というようなお先真っ暗な社会のことを歌っています。

実際にRolling Stones 英語版では、「これはサントラとして売られた 前作 Super Fly よりもなぜかサウンドトラック的に聴こえる」と、復員後にヤクの売人に身を窶したアメリカ黒人の物語として読み解いていたりします。これ、紙の同雑誌の当時=1973年のレビューなのかしら?[5]https://www.rollingstone.com/music/music-album-reviews/back-to-the-world-191136/ 2021-10-04 accessd

5. Gong. Cat In Clark’s Shoes. 1976.

プログレッシブ・ロック・バンド「ゴング」は、基本的にはDaevid Allen と Gilli Smyth の2人が中心となって活動した息の長いバンドです。他方でデビッド・アレンは生き方がロックな人物らしく、ジリ・スミスと一緒に自分のバンドを脱退していたりします。

そんな(Gong 全体の歴史から見れば)中心核の2人がいなくなった時のGong名義の活動では、一聴してプログレらしくないさまざまな“分家”サウンドが呈示されることになりました。そして今回の曲が、アレン&スミス脱退直後に、残ったフランス人ドラマー、Pierre Moerlen が主導したアルバムからの一曲。

この時代のゴングの曲群を、「ピエール・モレンのゴング」と呼ぶそうです。ウェザーリポートやイエスも特定メンバーの在籍状況やイニシアチブの取り方で時代を区分して聴いたりしますが、ゴングは初期ゴングからの暖簾分けが、(半解体と言えるほど)多彩みたいですね。

さて今回の曲、プログレロックと当時のジャズフュージョンの手法とが混じって、複雑かつ長大になってますね。「うわープログレ聴いたわ〜そういやプログレって長かったわ〜」と約8分の終わりで思い出す感じですね。でも局所局所がファンキーで良いので取り上げました。付き合わせてしまってすみません。

6. Deniece Williams. That’s What Friends Are For. 1978.

今回はクロマニオン → リヴァージ → ビリー・プレストン → カーティス・メイフィールド → ピエール・モレンのゴング と、5曲ぜんぶ deep な選曲になって、正直疲れてしまいました。なので最後に優しいソウルを入れたくて、デニース・ウィリアムスに。

厳密には Johnny Mathis とのコンビでの発表となります。デニースは、スティービーワンダーのバックバンド「ワンダーラブ」のコーラスに参加、;EW&Fのモーリス・ホワイトに師事し、1975年ソロデビューという流れですね。コミュニティに育てられつつ本人も才気煥発と言ったところでしょうか。

これで6曲です。ハァー今回は解説が激ムズでした。特にGongはファンク文脈ではあまり紹介されないでしょうから、自分の耳を信じて調べてたらめちゃめちゃプログレバンドで驚きました。テリーライスさんにはGongの変遷の件で色々教わりました。ありがとうございます。

今週は本当はLachey Doly 特集したかったんですが、明日できるかしらね。まだ6曲絞り込めてないわ。今晩がんばれたら明日の朝にプレイリストを出します。お楽しみに。

脚注一覧

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1Twitter版では「改名した」くらいの軽い変動として2つのユニット間の変化を語ってしまっていましたが、@alt38000 さんからLoop Junktion と CRO-MAGNON の違いについて補足コメントを頂戴しました。ありがとうございます。 @alt38000 to @tricken: “公式プロフィールもわかり辛いですがLoop Junktion解散→cro-magnon結成でメンバーも減ってんで改名では無いです。Loop Junktionはラッパーの山仁がいたのでイメージが結構違うと思います(あんま知らん)” (Twitter. https://twitter.com/alt38000/status/1443517707740086274 2021-10-04 accessed).
2公式プロフィール https://cro-magnon.jp/profile/ 2021-10-04 accessed.
3https://www.newtone-records.com/artist/RIVAGE , https://diskunion.net/black/ct/detail/1008170384 https://www.jetsetrecords.net/rivage-sittin-on-it/i/513005792599/ 2021-10-04 accessed
4https://www.allmusic.com/artist/billy-preston-mn0000590285/awards 2021-10-04 accessd.
5https://www.rollingstone.com/music/music-album-reviews/back-to-the-world-191136/ 2021-10-04 accessd